機械仕掛けのチルドレン・第六話H



(Gより続く)

 やっとの事で、教室の自分の席にたどり着いた俺は、椅子に座ると大きな溜息をついた。

「ふう~~~っ! ひでー目にあったな」

 その時、雅史がやって来て、

「浩之、どうしたんだい? 時間ギリギリだったじゃないか。それに、あかりちゃんは先に来て心配そうな顔してたけど、どっか行っちゃったし」

 俺は、げんなりした顔で、

「いや、それがな…」

と、今朝の一部始終を語った。すると雅史は苦笑して、

「あ、そうだったの。それで志保がさっき来て大騒ぎしてたんだ」

「ケッ、どうせあいつの事だから、俺とレミィがどうたらこうたら、って、つまらねーネタを垂れ流してったんだろ」

「ううん、違うよ。またレミィが発作を起こして、先生に大目玉食らった、って話だよ」

「なんだ、そっちの方か。ふう~っ」

 安堵の溜息を漏らした俺に、雅史は苦笑して、

「どっちにしろ、散々だったね」

 その時だった。

「浩之ちゃん」

 顔を上げると、眼を真っ赤にしたあかりがいる。俺は思わず、

「どうしたんだ?」

 何かを察したのか、雅史は無言で自分の席に戻って行った。すると、あかりは小声で、

「浩之ちゃん、いつの間にレミィとは、部屋まで起こしに来てくれるほどの仲になってたの?」

 なにっ!? なんなんだ。このセリフは。

 しかし、あかりは続けて、

「わたしの気持ち、気付いてくれてると思ってたのにな…」

と、言うと、ゴシゴシと目元をこする。

 いいっ? ちょっと待て。確か、このセリフは、こんなシチュエーションで出るんじゃなかったはずだが…。

 その時、

 ガラッ

 先生が教室に入って来た。それを見たあかりは、

「あ、ごめんね。授業が始まっちゃうから、席に戻るね」

と、無理に笑顔を作って席に戻って行った。

 う~ん、なんだか、釈然としないなあ……。

(Iに続く)


この物語はフィクションであり、登場する人物、団体は全て架空の物です。

BGM:'ときめきシンパシー' PlayStation版・「ToHeart」より 作曲・編曲:石川真也((C)Leaf/AQUAPLUS) MIDIデータ作成:VIA MEDIA

機械仕掛けのチルドレン 第六話G
機械仕掛けのチルドレン 第六話I
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