機械仕掛けのチルドレン・第六話G



(Fより続く)

 2−Bの教室に向けて、廊下を駆け足で移動していた俺が、コーナーを回った時、

「わわわっ!!」
「あれ~っ!!」

 どかっ!

 ばっしゃあああんんっ!!

と、そこにいた女生徒に正面衝突してしまった。おかげで、その生徒が持っていたバケツがひっくり返り、廊下は水浸しに……、

 …って、なんだこりゃ?

「あ、浩之さん、おはようございま~す♪」

 当然と言えば当然のお約束だが、そこにいたのはマルチである。

 あ~あ、廊下が水浸しになった上、マルチもひっくりかえったせいで、服が濡れちゃってるぜ。当然俺は頭を下げ、

「すまねえ、マルチ、だいじょうぶか?」

「はい、だいじょうぶです。なんともありません。廊下がぬれてしまいましたので、お掃除しますね」

と、マルチはニコニコしながらモップを持って立ち上がった。で、俺は、

「おい、マルチ、俺のせいで服が濡れちまったんだろ。その水はよごれてなかったのか?」

 マルチはにっこりと笑って、

「いえ、だいじょうぶです。今くんで来たばかりの、きれいな水ですから」

 ん?

 きれいな水ですから、だって?

 ちょっと待て、このシナリオは全年齢対象版のはずだ。確か、そのセリフは……、

 その時、

 キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン…

「あ、やべっ! 授業が始まっちまうぜ。じゃ、マルチ、またな」

「は~い♪ また、お会いしましょう♪」

 俺は、教室めがけて再びダッシュした。

(Hに続く)


この物語はフィクションであり、登場する人物、団体は全て架空の物です。

BGM:'夢見るロボット' PlayStation版・「ToHeart」より 作曲・編曲:石川真也((C)Leaf/AQUAPLUS) MIDIデータ作成:VIA MEDIA

機械仕掛けのチルドレン 第六話F
機械仕掛けのチルドレン 第六話H
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