第三部・トップはオレだ!




 サトシは大慌てで本部に駆け付けた。かつての作戦室に駆け込むと、マサキ以外の四人はもう既に来ており、深刻な顔をした由美子と松下もいる。

「後は四条君だけだな」

と、松下が言うのへ、由美子は、

「もうすぐ来ます。今バイクでこっちに向かっているそうです」

「そうか」

と、頷いた後、松下が、

「時間の事もあるから、始めよう。みんな、由美子君から聞いてもらったと思うが、潮岬に『使徒』が出現した。中継カプセルからの映像を見てくれ」

と、言ってリモコンを操作すると、モニタに映像が映った。

「!!!」
「!!!」
「!!!」
「!!!」
「!!!」

 五人が思わず息を呑む。その映像は、紛れもなく、あの「最終決戦」の時に出現した、「最強の使徒・ゼルエル」の姿だった。

 +  +  +  +  +

第二十二話・森羅万象

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 タカシが、開口一番、

「これは、『マーラ』じゃなかとですか」

 由美子は頷き、

「そう。マーラ特有のノイズパターンは発見されていないわ。こいつは姿だけを見る限りでは、間違いなく『あのアニメ』に出て来た『使徒・ゼルエル』よ。体高は約26メートル。オクタⅡと同じぐらいね」

 サトシとアキコは、思わず唸って、

「でも、そんなバカな事が……」

「信じられんです……」

 ここで、松下が、

「ハワイに出現した『使徒』は『サキエル』だった。そしてこちらには『ゼルエル』。理由はわからんが、あのアニメに出て来た『使徒』が現れた事に間違いない。現在自衛隊が何とか足止めしようと全力を尽くしている。まさかこんな事になるとは思いもしなかったが、とにかくこちらもオクタで出撃せねばならん。君達には申し訳ないが、協力を仰ぎたい」

 それを受け、リョウコが、

「オクタⅡで出るんですか?」

「それが、君達も知っての通り、オクタⅡは元々戦闘用として開発されていない。現在機関部が全力で前のオクタの武器を装備しているが、まだもう少しかかる見通しだ。それでだ、前のオクタの内残った3機、ナーガ、ヤキシャ、キナラの整備が何とか間に合ったから、まずそれで出てもらう事になる。ナーガの片足は急の補修で仮付けされているから、歩行は少々困難だ。ナーガに関しては、常に飛行すると言う前提で操縦してくれ」

と、松下が言ったのへ、由美子が続けて、

「それで、パイロットの割り当てを言うわ。とにかく、前に乗っていたと言う実績で、ナーガはタカシ君、キナラはサリナちゃんに任せるわ。ヤキシャは一度乗って戦った事があるリョウコちゃんが乗ってちょうだい」

 リョウコ、タカシ、サリナは、

「はい!」

「了解です!」

「はいっ!」

 由美子は更に、

「それと、一番肝心な事を言っておくわね。今回は前と違って、『魔界と現実界の融合』は起きていないから、マントラが直接的な効力を生む事は期待出来ないわ。マントラレーザーも普通のレーザーとしての効力しか出せないと思うから、その点は充分注意してちょうだい。それから——」

 その時、

トゥルルル トゥルルル トゥルルル

 由美子が受話器を取り上げる。

「はい、作戦室です」

 真由美の声が、

『中之島博士から連絡が入りました! つなぎます!』

「ちょっと待って! スピーカーにつないで!」

『了解!』

 ややあって、

『聞こえるか! 中之島ぢゃ!』

 由美子は頷き、

「はい! 聞こえます!」

『今オモイカネⅡを8台持ってそっちに向かっておる! 車ぢゃから、後20分ほどで着く予定ぢゃ! オクタⅡの出撃はそれまで待て!』

 ここで松下が、由美子から受話器を受け取り、

「了解しました! 博士! お気をつけて!」

『心配無用ぢゃ! 儂はA級ライセンス保持者ぢゃぞ! ふぉっふぉっふぉっ!』

 電話を切った後、由美子は、

「聞いた通りよ。それから、さっき言おうとした事だけど、今回の敵は全くの未知数だから、その点充分注意してちょうだい! では先発隊は出撃!」

「はいっ!」
「はいっ!」
「はいっ!」

 リョウコ、タカシ、サリナの三人は、立ち上がると急ぎ足で作戦室を出て行った。

 +  +  +  +  +

 潮岬。

ゴオーーーーーッ!!

ドカアアアアアンンッ!!

「グワアアアアアッ!!」

 突然出現したゼルエルに対し、空自各務原基地から出撃した反重力エンジン搭載の最新鋭戦闘機F−30が次々とミサイル攻撃を仕掛ける。しかし「ATフィールド」に守られたゼルエルには効果がなく、爆発音を轟かせるに過ぎない。だが、反重力エンジンのおかげで、ゼルエルのムチのような腕による攻撃は軽く躱す事が出来る上、ビームに関しても、発射される寸前に「予兆」として目が鈍く光るため、回避するのは難しくなかったので、「足止め」としての「戦果」は充分に挙げていた。

「こちら504、レーザー攻撃に切り替える!」

『了解』

「レーザー発射!!」

ブシュウウウッ!!!

「ガオオオオオッ!!」

 F−30のレーザー攻撃は、ATフィールドで減殺されるとは言うものの、一部はゼルエルに命中した。ゼルエルの体から微かに煙が立ち昇る。

「レーザーは一部通すが、実効は上げられない! 引き続き牽制行動を続ける!」

『了解!!』

 +  +  +  +  +

 JRL本部を飛び立った3機のオクタヘドロンは潮岬に向けて順調に飛行していた。リョウコもヤキシャの中で真剣な顔をしている。

 無線に、由美子の声が、

『オクタ各機! 調子はどう!?』

 リョウコは、

「ヤキシャ順調です。前と変わりません」

 タカシの声が、

『ナーガも調子よかです!』

 サリナも、

『キナラも絶好調です!』

『今の所、自衛隊機はゼルエルを何とか足止めしているわ! 急いでちょうだい!』

 由美子の声は真剣そのものであった。

 +  +  +  +  +

 JRL中央制御室。先刻駆け付けたマサキと、サトシ、アキコは、スタッフと共に潮岬から送られて来る映像が映るメインモニタをじっと見ていた。

 そこに、

「来たぞ!!」

 飛び込んで来たのは中之島である。松下が振り向き、

「あ、博士! オモイカネⅡは?!」

「心配するな。もう機関部に渡したわい。状況はどうぢゃ?」

「ご覧の通りです。何とか自衛隊が足止めをしてくれていますが、今の所、『使徒』に対しては効果的な攻撃は行えておりません」

「うーむ、……もしこいつが、『エヴァンゲリオンに出て来た使徒』と同じとすればぢゃ、ATフィールドを持っておるから、通常兵器での攻撃は困難と言う事になるのう。……さて、どうしたものかのう……」

「レーザーは一部ATフィールドを潜り抜けたそうですが、パワーはかなり減殺されたそうです」

「そうか。……うむ!! 待てよ!! もしかすると……」

 由美子は、色めき立ち、

「なんですか!!?? 博士!」

 中之島は、由美子の方を向いて、

「使徒はビーム兵器を使わなかったかの?」

「使っております。自衛隊機は上手く躱しているようですが」

「なら、おかしくないかの。相手のビームがATフィールドの内側から外へ出されるのならばぢゃ、こっちのレーザーも相手に届く筈ぢゃぞ」

 意外な指摘に、松下と由美子は、

「!!!!!!!」
「!!!!!!!」

 中之島は続けて、

「相手のビームの波形が判ればぢゃ、こっちのマントラレーザーやマントラメーザーの波形をそれに合わせてやれば、理論上はATフィールドを潜り抜けるから、攻撃可能な筈ぢゃ!!」

 松下は、興奮を抑えきれない顔で、

「確かにそうです!! そうか!! 何でこんな簡単な事に今まで気付かなかったんだっ!!」

「マーラのサイコバリヤーの時は、魔界のエネルギーで構成されておったからこそ、こっちのマントラが……、おお!! そうぢゃっ!!」

と、また顔色を変えた中之島に、松下が勢い込んで、

「どうしました!?」

 中之島は、アキコの方を向き、

「形代君!」

「はいっ!」

「確か、このまえウチに来た時に、光線剣の話をしておったの!」

「はい! 確か、ガルーダがサイコバリヤーのようなものを作り出したのでは、と、……あっ!」

 気が付いたアキコの声に、サトシも、

「ああっ!! そうかっ!!」

 由美子は思わず身を乗り出し、

「なによ! どう言う事なのっ!!?」

 中之島は大きく頷いて、

「その通りぢゃ! 反重力フィールドを変化させて、こっちがサイコバリヤーを作り出せるかも知れんぞ!!」

 松下は愕然となり、

「どう言う事ですっ!!??」

 中之島は、松下の方に向き直り、

「松下、前の戦闘記録はまだオモイカネに入っておるな?!」

「はい! しかしそれが何か?!」

「マーラのノイズパターンを使って反重力フィールドを振動させるのぢゃ! もしかしたらそれでサイコバリヤーを作り出せるかも知れん!」

「!!!! 了解しました!! 末川君! すぐにマーラのノイズパターンのデータを先発隊3機に送信しろ!!」

 真由美は頷き、

「了解!!」

 ここで由美子が、真由美に、

「先発隊はあとどれぐらいで現場に着くの!?」

「後5分弱ですっ!!」

 松下は、改めて中之島に、

「しかし博士、サイコバリヤーはいいとして、さっきの話ですが、相手のビームの波形をどうやって知るのです?!」

 中之島は、一瞬沈黙した後、ゆっくりと、

「……実際に受けてみるしかなかろうな」

「!!!!!」
「!!!!!」
「!!!!!」
「!!!!!」
「!!!!!」

 松下、由美子、サトシ、アキコ、マサキの五人は顔色を変えた。その時、リョウコの声が、

『こちらヤキシャ。オクタ3機、間もなく現場に到着します!』

 松下が、インカムを掴み直し、

「北原君!! データは受信したな!」

『はいっ! 受信しました!』

 その時、山上の声が、

『こちら機関部山上! オクタⅡにオモイカネⅡの設置を終えました! 武器も装備完了です!!』

 松下は、再度インカムに、

「了解した!!」

 由美子は頷くと、サトシ、アキコ、マサキの三人に、

「聞いた通りよ。じゃ、サトシ君はアカシャ、アキコちゃんはアグニ、マサキ君はヴァーユで出てちょうだい!!」

「はいっ!!」
「はいっ!!」
「了解っ!!」

 +  +  +  +  +

 3機のオクタヘドロンは潮岬に到着した。確かに目前にいるのは、あの「使徒・ゼルエル」である。

 スクリーンを睨みながら、リョウコが、

「こちらヤキシャ! 攻撃を開始します!」

 その時、由美子が、

『リョウコちゃん! その前に一度、反重力フィールドにノイズを同調させてみて!』

「了解! 同調開始!」

ブウウンンッ!!

「わあああっ!!」

 突如、ヤキシャはバランスを崩して斜め下に落下し始めた。

 +  +  +  +  +

 中央制御室では、

『わあああっ!!』

 リョウコの声に続いて、タカシとサリナが、

『北原っ!!』
『北原さんっ!!』

 由美子は、真由美に向かって、

「あああっ!! 同調を解除してっ!!」

「リセット信号を送信しましたっ!!」

 +  +  +  +  +

 リセット信号を受信したヤキシャは体勢を立て直し、再び上昇を始めた。

『リョウコちゃんっ! 大丈夫っ?!』

 由美子の声に、リョウコは、

「大丈夫です! 突然バランスを失いました!」

 +  +  +  +  +

「了解! とにかくノイズ同調はしばらく中止します。……博士、どう言う事なんですかっ?!」

と、言った由美子に、中之島は、

「クソっ! これは失敗ぢゃ! 末川君! 今の状況をモニタしておったか!?」

 真由美が振り向き、

「はいっ!! 反重力フィールドが突然不安定になりましたっ!!」

 中之島が近寄って、

「データを見せろ! …………そうか! 前のオクタのコンピュータでは、あのノイズパターンを作り出した場合、フィールドの変動が激し過ぎて修正が間に合わんのかっ!! オモイカネⅡならそんな事はないのぢゃがっ!!」

 それを聞いた由美子は、

「わかりました! とにかくそれはオクタⅡの到着までは待ちましょう! 先発隊! ノイズ同調は中止し、今のままで攻撃します! 自衛隊機と協調して牽制をやってちょうだいっ!!」

『了解!!』
『了解!!』
『了解!!』

 +  +  +  +  +

 リョウコは、操縦桿を握り直し、

「ヤキシャ、牽制を開始しますっ!! 距離を取ってレーザーで攻撃開始!!」

 +  +  +  +  +

 続いてタカシも、

「ナーガ、同じくレーザー攻撃開始!」

 +  +  +  +  +

 サリナも、

「キナラ、同じくレーザー攻撃開始!」

 +  +  +  +  +

ブシュウウウウウッ!!
ブシュウウウウウッ!!
ブシュウウウウウッ!!

「グオオオオオオオッ!!!」

 3機のオクタヘドロンは自衛隊機と共にゼルエルの周囲を旋回しながらレーザー攻撃を開始した。

 +  +  +  +  +

 その時、中之島が、

「そうぢゃ!! オクタ各機!! あの使徒は空を飛べるぞっ!! 充分注意しろっ!!」

『了解!!』
『了解!!』
『了解!!』

 +  +  +  +  +

ブシュウウウウウッ!!
ブシュウウウウウッ!!
ブシュウウウウウッ!!

「グオオオオオオオッ!!!」

 ATフィールドで減殺されているとは言うものの、元々が極めて強力なオクタヘドロンのレーザーを照射されたゼルエルの体はあちこちが焦げ始めた。流石のゼルエルも少々苦しげに体をよじる。そしてそれが暫く続いた後、突如ゼルエルは飛び上がった。

 +  +  +  +  +

「飛んだわっ!!」

 リョウコが思わず叫ぶ。

 +  +  +  +  +

 潮岬に向かうアカシャの中でサトシは焦っていた。さっきリョウコのヤキシャがバランスを崩した事も無論知っている。「別れた」筈なのに、妙にリョウコの事が気になって仕方ない。

 サトシは思わず、

「クソっ!! 速く飛べっ!!」

 すかさずアキコが、

『沢田くん! あせったらいけんよっ!!』

 マサキも、

『そうや! 今あせっても何にもならへんでっ!!』

「りょ、了解っ!」
(こんな時に、なんで僕はリョウコの事ばかり気にしてるんだ……)

 +  +  +  +  +

(北原さん……。大丈夫だろうか……)

 大作は自室でテレビのニュースを見ながらリョウコの事を案じていた。オクタヘドロンが出撃したとなれば、当然どれかにリョウコは乗っているだろうとの想像は容易に出来る。しかし、詳しい情報がないだけに、余計イライラが募ってしまい、

(……僕も、行けるものなら行きたい……。よしっ!!)

 大作は意を決して立ち上がると、JRL新潟支部長たる父の所に電話をかけるべく、受話器に手を伸ばした。

(……「反則」は重々承知の上だ……)

 +  +  +  +  +

カタカタカタカタ

 ゆかりが真剣な顔でパソコンに向かって何やら計算している。今自分がパソコンを使って「あれこれ計算して」も、何も役には立たないだろうとは思うのだが、それでも「公開されているかつてのオクタヘドロンとマーラの戦闘記録」を使って計算すれば何か判るのではないか、と言う気持ちが、彼女にそうさせずにはいられなかった。

「……そうだわ!! 衝撃波!! これだわ!!」

 ゆかりは電話に飛び付くと岩城の電話番号を押す。

 +  +  +  +  +

 岩城は自宅でジリジリとしながらテレビを見ていた。本来なら本部に駆け付けてもよさそうなものなのだが、青嵐学園の理事長と言う立場ゆえ、どこかから連絡があったらすぐにまたあちこちに連絡をせねばならないと言う気持ちから、自宅にいたのである。

トゥルルル トゥルルル トゥルルル

 すかさず立ち上がり、受話器を取り上げる。

「はい! 岩城です」

『綾小路でございます!』

「お、綾小路君か! どうしたんだ!」

『役には立たないかも知れませんが、今回の使徒との戦闘にもしかしたら使えるかも知れないデータを算出しました! 本部に連絡したいのですが!』

「なにっ!? そうか! 本部も、今はどんなデータでも使える物なら使いたいだろう! 連絡しておくから、すぐに本部にデータを送信した後、念のためにデータを持って君も本部に向かってくれ!」

『了解しました!』

 +  +  +  +  +

 大作は、電話で、

「……そう言う訳です。お父さんにこんな事を頼むのは筋違いだと言う事は充分わかっていますが、何とか僕にも協力させて下さい!」

『……仕方ないな。お前の事だから、だめだと言ったら本部に忍び込んでオクタⅡを奪いかねん。しかし、何もなしで本部に行っても誰も相手にはしてくれんだろう。……ちょうどこっちで開発を終えたばかりの最新の手動操作用プログラムがある。効率を大幅に改善したヤツで、お前が前にやっていた実験を元にしたものだ。それを本部に送っておく。このプログラムを使うに当たってはお前が一番適任だろうし、その旨も言っておくから、すぐ本部に行け』

「ありがとうございます。恩に着ます」

『ではこれでな。気を付けろよ』

「はい」

 電話を切ると、大作は部屋を飛び出した。

 +  +  +  +  +

 潮岬では、飛び上がったゼルエルとオクタヘドロン3機の空中戦が続いていた。

ブシュウウウウウッ!!
ブシュウウウウウッ!!
ブシュウウウウウッ!!

「グオオオオオオオッ!!!」

 幸いにしてゼルエルのスピードは然程ではない。超高速で飛び回るオクタヘドロンは、ゼルエルのムチのような腕とビームによる攻撃を難なく躱す。しかし、双方共に「決め手」に欠けるため、戦いは一進一退の攻防に入ったまま戦場を闇夜の海の上に移し、膠着状態に陥っていた。

 +  +  +  +  +

 JRL中央制御室。

 インカムを直しつつ、真由美が振り返る。

「岩城理事長から電話です! 音声出します!」

『岩城です! 聞こえますか?!』

 由美子が応え、

「こちら山之内! 聞こえます!」

『青嵐学園2年の綾小路君が、もしかしたら戦闘に使えるかも知れないデータを算出しました! すぐにそちらに送信されます。また、本人にもそちらに行くように言いましたから、よろしく頼みます!』

「綾小路さんが?! 了解しました! とにかく受け入れ体勢だけは整えておきます!」

『ではこれにて』

 続いて真由美は、

「本部長! 草野新潟支部長から電話です!」

「音声を出してくれ!」

と、松下が怒鳴った直後、

『もしもし、新潟支部長の草野です……』

 +  +  +  +  +

 草野支部長から話を聞いた松下は、

「……しかし、草野、まだ大作君は何の経験もないんだぞ。いくら手動操作に巧みだと言っても、いきなり出撃させるのはどうかと思うが」

『本部長もご存知の通り、オクタの基本操作は脳神経スキャンインタフェースに頼り切っている。その弱点をカバーするのがこのプログラムだ。これに関しては一番の適任者は大作だよ。頼む、私を信じてくれ』

「……確かにな。お前は一貫して手動操作の重要性を主張していたからな……」

『そうだ。マニュアルの裏付けがあってこそのオートだ。使ってみてくれ』

「……よし、わかった。確かに今は戦力はいくらでも欲しい。やらせてみよう」

 由美子は思わず、

「本部長!!」

と、詰め寄ったが松下は黙ったままである。その直後、草野支部長は、

『恩に着る。ではこれにて』

 電話が切れた後、由美子は再度松下に、

「本部長、大丈夫なんですか?!」

 松下は、苦渋の表情でゆっくりと頷くと、

「沢田君が一番最初にガルーダに乗った時の事もある。……それに、確かに今はどんな戦力でも欲しい事は間違いないしな……」

「……了解しました……」

と、由美子も頷いた時、

「失礼致します!!」

 飛び込んで来たのは綾小路ゆかりである。由美子は振り向き、

「綾小路さん!」

 ゆかりは、由美子の所に来て、

「データは届きましたか!?」

 由美子は真由美に、

「末川さん! 綾小路さんからのデータは届いてる!?」

「はい、只今解析中です! ……解析結果出ました! モニタに出します!」

 ウィンドウに現れたグラフに、松下は眼を見張って、

「おおっ!! これは! 衝撃波のシミュレーションか!!」

 ゆかりは頷き、

「はい! オクタⅡをマッハ以上に加速すれば、強力な衝撃波を起こせます! 上手く使えば、強力な武器となります!」

 中之島も唸って、

「成程のう。前のオクタは反重力フィールドを使って衝撃波を出来るだけ少なくするように設計しておったが、オクタⅡの場合は直接大気圏に突入出来る仕様じゃから、それを逆に使うと言う訳か!!」

「その通りですわ」

 ゆかりは再び頷く。それを受け、松下は、

「よし、末川君! このデータをすぐに送信しろ! それから、新潟から来たデータもだ! 残りの5機にも転送しておけ!」

「了解!」

 その時、

「失礼致します!!」

 入ってきたのは草野大作である。ゆかりは驚いて、

「大作君!!」

 大作も驚き、

「ゆかり姉さん! ……考える事は同じだな……」

 ここで由美子が、

「草野君、お父さんから事情は聞いたわ」

 大作は、頭を下げ、

「勝手なお願いで申し訳ありません! 僕もぜひ出撃させて下さい!」

 松下もやって来て、

「草野から話は聞いた。君にも手伝ってもらう」

「ありがとうございます」

 ここで、ゆかりが、

「如何でしょう。私も出撃させて戴けますでしょうか?」

 そこで由美子は、

「草野君、綾小路さん」

「はいっ!」
「はいっ!」

「あなた達は、青嵐学園でシミュレーションの経験はあるわね」

「はい!」
「はい!」

 由美子は、ゆっくり頷くと、

「では、改めて出撃を要請します! 草野君はプリティヴィに、綾小路さんはヴァルナに搭乗してちょうだい! 案内させるから、ロッカールームでジャンプスーツに着替えてから格納庫に行ってね!」

「はいっ!」
「はいっ!」

 由美子は振り返り、

「誰か! この二人を案内して! それから、総務部の中森由美さんに中央に来て応援するように連絡してちょうだい!」

と、言った後、再度二人の方を向いて、

「言うまでもないと思うけど、二人とも充分気を付けてね!」

「はいっ!」
「はいっ!」

 二人はスタッフに伴われて中央制御室を出て行った。

 +  +  +  +  +

 プリティヴィとヴァルナが出撃して行った後、由美子は松下に、

「本部長。あの二人にはバックアップをやらせます」

「順当だろうな。何しろ初めてだからな。……まあしかし、前の時も私らはこんな事をやっていたんだな……。心苦しい事だ……」

「……そうですね……。由美ちゃん、あの二人の飛行状況は?」

 中森由美が、顔を上げ、

「順調です。初めてとは思えませんね」

 松下も、由美の所に行って数値を覗き込み、

「脳神経スキャンインタフェースとの相性がいいな。やはり、大人より子供が適任と言う事か……」

 その時、サトシの声が、

『後発隊、間もなく現場に到着します! すぐに攻撃を開始します!!』

 しかし、中之島は、

「待て! 沢田君! その前にサイコバリヤーを試してみてくれ!!」

『了解! ノイズパターン同調開始!!』

 +  +  +  +  +

ブウンッ!!

 サトシの叫びに呼応してアカシャは反重力フィールドに「マーラのノイズ」を同調させた。一瞬鈍い振動音がして少しぐらついたが、すぐに収まり、アカシャは正常な姿勢を保っている。

「正常です!! 支障ありません!」

と、言ったサトシに、中之島は、

『そうか!! ならば一度実験をしてみる必要があるのう!』

「どんな実験ですか?!」

 +  +  +  +  +

「知れた事よ。他の機でアカシャを撃ってみるのぢゃ」

と、言った中之島に、流石の由美子も、

「ええっ!!?? それはいくら何でもっ!!」

「しかし、それをやらん限り、果たしてサイコバリヤーが動作しているかどうかは判らん。本体に当たらんように、フィールドを掠める程度にすれば大丈夫ぢゃ。ヴァーユ、飛んだままでいいから、アカシャのフィールドを掠めるようにレーザーを撃て!」

 +  +  +  +  +

 マサキは、軽く頷いて、

「了解しました。沢田君! 撃つで! 気い付けろや!」

『し、四条さん! お手柔らかにっ!!』

「任せとけ! 僕はこんなんは得意やからな! レーザー発射!!」

ブシュウウウッ!!

 ヴァーユから発射されたレーザーはアカシャのフィールドを掠め、強い光が散った。

 +  +  +  +  +

「わわわっ!!」

と、サトシは一瞬焦ったが、すぐに、

「……あれ、なんともない……」

 +  +  +  +  +

「末川君、どうぢゃ?! 今の実験結果は?」

 中之島の言葉に、真由美は、

「レーザーの大部分は反射しましたが、一部は通過しています! このままでは不完全です!」

「うーむ、そうか、まだ完全ではないか。付け焼刃ぢゃから止むを得んのう……」

「しかし、それでも80%以上は跳ね返しています」

と、真由美が言ったのへ、中之島は頷くと、由美子の方に向き直り、

「中畑君、いや、由美子君」

「はいっ!」

「お聞きの通りぢゃ。まだ完全ではないが、オクタⅡのサイコバリヤーはかなりの効果がある。今後の改良は無論の事ぢゃが、今回に関してはこれをどう使うかは君の腕の見せ所ぢゃぞ」

「了解しました!」

 その時、サトシの声が、

『後発隊、現場に到着! 指示を待ちますっ!!』

 +  +  +  +  +

 それを聞いた由美子は、

「後発隊全機サイコバリヤーを展開! 遠方からレーザーとメーザーでフル攻撃!」

『了解!!』
『了解!!』
『了解!!』

 +  +  +  +  +

 6機は自衛隊機と共にゼルエルの周囲を超高速で飛び回りながらゼルエルに執拗な攻撃を加え続けた。流石のゼルエルも、これだけ「ジャブ」を入れられては段々ダメージが蓄積して行く。少し動きが鈍ったかと思ったその時だった。

「グワアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

 突如ゼルエルは咆哮を上げたかと思うと、今までとは違うビームを眼から乱射し始めた。

 +  +  +  +  +

「何だあれは!? 今までのビームじゃない!」

と、驚いた松下に、由美が顔色を変え、

「大変です! 中継カプセルが大量のガンマ線を検出しましたっ!!」

「何だと! あれは光線ではないのか! まさか!『粒子ビーム』かっ?!」

 中之島も声を荒げ、

「多分そうぢゃ!! あいつが苦し紛れに『粒子ビーム』を撒き散らしたから、周囲の大気に反応してガンマ線が発生したのぢゃ!! オクタⅡなら大丈夫ぢゃが、前のオクタでは少々苦しいぞ!!」

 すかさず由美子は、

「先発隊3機! 距離を取って! 放射線を避けて!! 後発隊はそのままの距離で攻撃してっ!!」

『了解!』
『了解!』
『了解!』

 更に由美子は、

「このままじゃ大変な事になるわっ! 博士! イチかバチか、マントラレーザーを撃ち込んでみたら?!」

 中之島は、唸って、

「しかし、相手のATフィールドを通過させられるかどうかはまだ判らんぞ! クソっ!! 特攻してビームのデータを採取するしかないのかっ!!」

 それを聞いたサトシが、

『僕にやらせて下さいっ!!』

 しかし、中之島は、

「駄目ぢゃっ!! 今のサイコバリヤーでは相手のビームを完全には防御出来んっ!! まともに食らったらオクタⅡと雖も耐えられる保証はないぞっ!!」

『フィールドを掠めるだけなら大丈夫でしょっ!!』

「脳神経スキャンインタフェースの反応速度だけでは、完全に回避出来る保証はない! それは許可出来んっ! 上手くやらんと元も子もなくなるぞっ!!」

『しかし! このままじゃ!!……』

 その時、大作が、

『もう少し待って下さいっ!! 僕がやりますっ!!』

 +  +  +  +  +

 サトシは思わず、

「草野!!」

 +  +  +  +  +

 リョウコも、

「草野さん!!」

 +  +  +  +  +

『僕なら手動操作でカバー出来ます! もうすぐ到着しますから、僕にやらせて下さい!!』

と、大作が言ったのへ、由美のコンソールのそばにいた松下が、

「……わかった。草野君にやらせてみよう」

「本部長!!」
「松下!!」

 由美子と中之島は松下に詰め寄ったが、松下は、

「博士、今飛んでいるだけのデータで判断するしかありませんが、確かに草野君の手動操作は抜群です。……このコンソールを見て下さい。彼は今、手動で飛んでいます」

「何ぢゃとっ!?」
「ええっ!?」

 中之島と由美子は驚いて叫んだ。

 +  +  +  +  +

 大作は、プリティヴィを操りながら、

「申し訳ありません。勝手だとは思いましたが、試しに脳神経スキャンインタフェースを切って手動だけで飛んでいました」

 +  +  +  +  +

 松下は頷くと、

「わかった。……では、草野君、インタフェースも同時に使うんだ。相手のビームがフィールドをギリギリ掠めるように受けてくれ。そのデータを使ってマントラレーザーの波形を変える。頼んだぞ」

『了解!』

 +  +  +  +  +

(クソっ!! 草野の野郎め! ……でも、死ぬなよ!!……)

 内心忸怩たる思いを少々感じながら、サトシはレーザーを撃ち続ける。

 +  +  +  +  +

(……草野くん……。死なないでよ……)

 リョウコも唇を噛み締めながらレーザーを撃ち続けていた。

 +  +  +  +  +

 ガンマ線の影響を避けるべく、3機の旧オクタヘドロンと自衛隊機は距離を取って攻撃を続けた。オクタヘドロンⅡはこの量の放射線なら充分堪えられる仕様である上、サイコバリヤーがあるため、かなり接近して攻撃を続けている。そうこうしている内に、大作のプリティヴィとゆかりのヴァルナが現場に到着し、

「サイコバリヤー作動!! データ収集、開始します!!」

 大作は叫ぶと突進して行った。ゼルエルの眼が鈍く光る。

シュウウウウウウウウッ!!

ドオオンッ!!

「うわああっ!!」

 +  +  +  +  +

 無線に飛び込んで来た爆発音と大作の声に、サトシは思わず、

「草野っ!!」

 +  +  +  +  +

 リョウコも、

「草野くんっ!!」

 +  +  +  +  +

 ゆかりも、

「大作くんっ!!」

 +  +  +  +  +

「草野君っ!!」

 由美子も叫んでいた。

 +  +  +  +  +

 大作は舌打ちし、

「クソっ!! しまったっ!!!」

 回避したつもりだったが、ゼルエルのビームはプリティヴィの右肩を掠めた。驚いた事に、卵形のバリヤーの内部に破片が飛び散っている。プリティヴィはそのまま旋回し、他機がゼルエルへの牽制攻撃を続ける中を上昇した。

 +  +  +  +  +

 真由美が振り返り、

「データ採取完了しましたっ!! 波形分析中ですっ!!」

 松下は頷き、

「完了次第全機に送信しろっ!!」

「了解!! …………分析完了! 送信しますっ!!」

 +  +  +  +  +

『草野! 大丈夫かっ!!』

 サトシの声に、大作は、

「ああ、何とか大丈夫だ! バリヤーの内部に破片が飛び散っているから上昇してバリヤーを解く! 後は頼んだぞ!」

『わかった! まかせろ!』

 +  +  +  +  +

 由美子はインカムを掴み直し、

「プリティヴィは離脱して! ヴァルナはオクタ3機と合流! オクタⅡの3機は接近したまま攻撃を続けて!!」

 プリティヴィは隊列を離れて上昇して行き、ゆかりのヴァルナは指示通り3機のオクタのグループに入った。

 +  +  +  +  +

 サトシが叫ぶ。

「マントラウエーブ波形同調! レーザー発射!!」

 +  +  +  +  +

 アキコも、

「レーザー発射!!」

 +  +  +  +  +

 リョウコも、

「発射!!」

 +  +  +  +  +

 マサキも、

「レーザー発射!!」

 +  +  +  +  +

 タカシも、

「発射!!」

 +  +  +  +  +

 サリナも、

「レーザー発射!!」

 +  +  +  +  +

「レーザー発射!!」

 ゆかりも叫んだ。

 +  +  +  +  +

 7機から発射されたレーザーはATフィールドを通過し、ゼルエルを7方から直撃した。

ジュワアアアアアアアアッ!!
ジュワアアアアアアアアッ!!
ジュワアアアアアアアアッ!!
ジュワアアアアアアアアッ!!
ジュワアアアアアアアアッ!!
ジュワアアアアアアアアッ!!
ジュワアアアアアアアアッ!!

「グワアアッ!!! グワアアアアアアアアッ!!!」

 ゼルエルが断末魔の悲鳴を上げる。

 +  +  +  +  +

 サトシは、声を張り上げ、

「よしっ!! 効いているぞ!! 続けて発射!!」

 +  +  +  +  +

ブシュウウウウウウウウッ!!
ブシュウウウウウウウウッ!!
ブシュウウウウウウウウッ!!
ブシュウウウウウウウウッ!!
ブシュウウウウウウウウッ!!
ブシュウウウウウウウウッ!!
ブシュウウウウウウウウッ!!

「グワアアアアアアッ!!!」

 しかし、何と言う事だろうか、ゼルエルのATフィールドはレーザーをまたもや大部分跳ね返してしまったのだ。

 +  +  +  +  +

「どう言う事だっ!! 一度は効いたのにっ!!」

と、松下が怒鳴ったのへ、中之島が歯噛みして、

「クソっ!! フィールドの波形を変えよったなっ!!」

 その時、ゆかりが、

『本部! 衝撃波攻撃の許可を!!』

「わかった!! もうそれしかあるまい!」

 松下は頷き、叫んだ。

 +  +  +  +  +

「全機散開願います!!」

 ゆかりはそう叫び、ヴァルナを急上昇させる。

 +  +  +  +  +

 サトシは思わず、

「綾小路さんっ!! なにをっ?!!」

 その時、由美子が、

『残りの各機!! 散開しながら牽制攻撃を続けてっ!!』

 +  +  +  +  +

 6機が散開しながら牽制攻撃を続ける中、ゆかりのヴァルナは遥か上空まで昇った。そして、突然体を丸めると、

「全速で急降下!!!」

 +  +  +  +  +

ゴオオオオオオオオオッ

 ヴァルナは凄まじい猛スピードで降下し始めた。そして、

キイイイイインンッ!!!!

 風切音が金属音にまで達した時、

 +  +  +  +  +

 ゆかりは叫んだ。

「今だ!! 全機更に散開して避難せよ!!」

 +  +  +  +  +

 6機は避難のため急速に散開した。そこに残るはゼルエル1体である。

「???????????」

 ゼルエルが訝しげに周囲を見回した時、上から金属音を立ててヴァルナが突入して来た。

キイイイイインンッ!!!!

 +  +  +  +  +

 ゆかりは更に叫ぶ。

「着水寸前で制動して離脱!!」

 +  +  +  +  +

キイイイイインンッ!!!!

 ヴァルナはゼルエルのすぐ側を通過した。その次の瞬間、凄まじい衝撃波がゼルエルに襲いかかり、

ドオオオオオオオオオオオオオンンンンンッ!!!!

「グワアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

バシャアアアアアンンッ!!

 ゼルエルは斜め下方に弾き飛ばされ、海面に激しく落下した。

 +  +  +  +  +

 メインモニタを見詰めていた由美子が振り返り、

「映像が消えたわっ!! 末川さん!」

 すかさず真由美が、

「衝撃波でカプセルが破損しました! オクタからの映像に切り換えますっ!!」

「やったのかっ!!!?」

 松下も思わず叫んでいた。

 +  +  +  +  +

ドオオオオオオンッ!!

「わわわっ!!!」

 かなりの距離を取っていた筈だが、衝撃波の力は凄まじい。サトシのアカシャも衝撃を受けた。

 +  +  +  +  +

 コンソールを操作していた真由美が、

「映像出ますっ!!」

 メインモニタには暗闇しか映っていない。由美子は思わず、

「ゼルエルはっ!? オクタはっ!?」

 真由美は、コンソールを操作したまま、

「映像分析ではゼルエルは見当たりませんっ!! オクタは…………、全機無事ですっ!!」

 松下が、インカムを掴み直し、

「しかしまだやったとは限らん!! また来るかも知れんぞっ!! 全機!! 引き続き監視を続けろっ!!」

 +  +  +  +  +

 サトシは、大声で、

「綾小路さんっ!! 応答願いますっ!!」

 無線からはアキコと大作の声が、

『綾小路さんっ!! 綾小路さんっ!!』
『ゆかり姉さんっ!! 応答しろっ!!』

 その時、

『私は大丈夫ですわ』

と、入って来たゆかりの声に、サトシは、

「あっ!! 綾小路さん!! よかった!!」

 アキコと大作も、

『よかった!! 無事じゃったんですね!!』

『よかった。心配したよ……』

 しかし、ゆかりは淡々と、

『使徒はまだ生きているかも知れませんわ! 引き続き監視を続けましょう!』

「はいっ!!」

 サトシは、操縦桿を握り直した。

 +  +  +  +  +

 アキコも、力強く、

「はいっ!!」

 +  +  +  +  +

 大作も、

「了解!」

 +  +  +  +  +

 8機は闇夜の中を暗視カメラとスキャナを駆使し、その後1時間以上飛行しながら監視を続けたが、遂にゼルエルは現れなかった。

 続く



この物語はフィクションであり、登場する人物、団体は全て架空の物です。

BGM:'たとえ、君を抱いても ' composed by QUINCY (QUINCY@po.icn.ne.jp)

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