第三部・トップはオレだ!




 5月17日。

 オクタヘドロンⅡの初飛行から1週間経ち、調整は順調に進んでいた。改善作業を進めている機関部長の山上の所へ、本部長の松下がやって来て、

「山上君、どうかね」

「あ、本部長。反重力エンジンの出力変動記録がどうも不満ですね」

「ちょっと見せろ。……うむ、数値的には充分及第点をやれるんだが、どうもパイロットとの連繋がしっくり来ないと言うのか、そのあたりが気に入らんなあ」

「やはり手動操作のレスポンスの関係でしょうかねえ」

「脳神経スキャンインタフェースとの相性もあるんだ。……正直言ってな、やはり『大人』では上手く行かんのだよ……」

「なるほど……」

「ところで、補助エンジンのアポジモーターの方はどうなんだ? 改良は進んでいるのか?」

「現在の所、常温核融合炉を新型のものに載せ替えようかと考えていますが」

「うむ、それがよかろう。頼んだぞ」

「はい」

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第二十一話・六道輪廻

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 こちらは総務部。由美子はいつも通り中森由美と共に書類処理に追われている。

「部長、秘書室からこの前の式典の関係の経費請求が来ましたが」

「ちょっと見せて。……なによこれ! なんでこんなにかかってるのよっ!」

「えっ?! ……ど、どうもすみません……」

「あっ、ごめんね。由美ちゃんのせいじゃないわよねえ……。ちょっと文句言ってやる!」

と、由美子は電話機に手を伸ばした。

『秘書室山之内です』

「ちょっと! この経費なによ!」

『えっ?! な、なんだ……。あ、総務部長か。いきなりおどかすなよ……』

「たかがあんな式典にいくらなんでもこんなにかかるわけないでしょっ! 何に使ったのよっ!」

『ちょっと落ち着けよ。……あちこちから「お偉いさん」が大勢来たんだぜ。それぐらいの接待費用はかかるよ』

「何言ってんのよ! なんでオクタⅡの式典にコンパニオンがこんなに必要なのよっ! どうせあんたの好みで呼んだんでしょっ!!」

『ちがうって。上からの「強い要望」でだな……』

「とにかく、こんな費用は払えませんからねっ!! だいたいあんたはいっつもねっ…………」

「…………♪;」
(……仲がいいのやら、悪いのやら……)

 電話越しに山之内にどなる由美子の様子を見ながら由美は苦笑していた。

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 こちらは青嵐学園。シミュレーション訓練室に教官の声が響く。

「こらっ沢田! そうじゃないだろう!」

「す、すみません……」

 サトシのクラスはシミュレーションによるロボットの手動操縦の時間である。どちらかと言うと手動操縦をやや苦手としているサトシにとってはあまり楽しい時間ではない。

「よし、草野は1ルーチン終了だ。次の課題にかかれ」

「はい」

 新潟で手動操縦をやっていた大作は手慣れたものである。シミュレーションを難なくこなしている。

「形代、そこは少し違うぞ、出力を上げる時はもっと滑らかにやれ」

「はいっ!」

 アキコはややおっちょこちょいな所があるが、大らかに「ロボット」を動作させている。如何にも彼女らしい。

「北原、慎重なのはいいが、思い切りが足りない。それでは咄嗟の動作に遅れるぞ」

「はいっ、気をつけます」

 リョウコは着実に訓練をこなしているが、それでもまだ動きがややぎこきない。それを克服するのが当面の課題である。

 手動操作を行いながら、サトシはふとかつてのオクタヘドロンの事を思った。

(……あーあ、ガルーダの時は頭で考えただけで動いたんだけどなあ……)

「こら沢田! ボケっとするな!」

「は、はいっ! すみません……」

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 ゆかりのクラス。

「先生」

「何だね、綾小路君」

「相対性理論で示されておりますように、物体が光速に近付きますと質量が増大し、通常の方法では光速を超える事は出来ませんが、重力による加速の場合だけは質量は増大しないと言う例外がございます。それで、もし反重力エンジンを使って加速を続けた場合、理論的には光速を超えられると言う事になりますが、実際問題として光速を超えたらどうなるかの実験は今後行われるのでしょうか?」

「JRLにおいてはその予定はないが、宇宙開発事業団では無人探査機を使ってそれを行おうと言う構想もある。しかし、問題点は、太陽系でそれだけの加速を行える場所があるかどうかに加えて、その状態をどうやってモニタするかなのだ」

「電波では通信が間に合わないと言う事ですのね」

「その通りだ。それを解決する方策は今の所発見されていないし、それに……」

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 こちらは中之島研究所。

「ふぉっふぉっふぉっ! ついに出来たわい! これでオモイカネⅡのプログラムは完璧ぢゃ! ふぉっふぉっふぉっ!!」

 オモイカネⅡの最終調整を終えた中之島は高らかに笑った。

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 その頃、地球を周回する「ハッブルⅡ宇宙望遠鏡」は、強い光を放つ小さな物体が月の背後から出現し、徐々に地球に近付いて来る様子を捉えていた。

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「何だこれは?……」

 それを見た国立天文台の宇宙望遠鏡データ解析担当者は、「光る球」の写真を見て首を捻るだけだった。

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 日本時間5月17日13:00頃。

 日本国政府が国立天文台からの「光る球」に関する情報を受けていた頃、アメリカ国防総省は世界各地の天文台から送られて来る「光る球」に関する情報の分析に総力を挙げていた。

「現在ノ球ノ速度ガ判明シマシタ! 秒速100Kmヲ超エテイマス!」

「ナニッ!!??」

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 JRL本部長室。

トゥルルル トゥルルル トゥルルル

「はい、JRL松下です」

『総務省の高沢だ』

「あ、これはどうも」

『松下君、おかしな情報が入って来た。月の付近から秒速100キロを超える速度で、未確認飛行物体が地球に接近中だ』

「なんですって!!? 衝突の危険は?!」

『今のコースから見るとその心配はなさそうなんだが、物体がこのままの速度とコースを維持すれば、後1時間もしない内に地球付近をかすめる。偵察の必要があるかも知れんから、取り敢えずオクタⅡの発進準備を急いでおいてくれ』

「了解しました!!」

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 地球に接近して来た「光る球」は、地上1000Km付近で急激に速度を落とし、飛行コースを変えて地球を周回する軌道に入った後、まるで見定めたかのようにハワイ近海を目指してゆっくりと降下して来た。

 +  +  +  +  +

「「「「「アアアアアアアアアッ!!」」」」」

 ハワイの人々が、空を見上げて一斉に驚きの声を上げる。

 +  +  +  +  +

ゴオオオオオオッ!!!

 ハワイの基地から次々と反重力エンジンを搭載した戦闘機が離陸して行く。

 +  +  +  +  +

「コチラ803、物体ガ落下シタと思ワレル海域ニハ何モ見アタラナイ。引キ続キ調査ヲ続ケル」

『了解』

 +  +  +  +  +

トゥルルル トゥルルル トゥルルル

「はい! JRL松下です!」

『高沢だ。アメリカからの情報では、物体はコースと速度を変えてハワイ近海に落下したらしい!』

「えっ?! 地球にやって来たんですか?!」

『そうなんだ! それでアメリカ空軍が偵察に出たが、今の所何も見つかっていないと言う事だ!』

「そうですか。こちらはいつでも出られる状態で待機中です」

『わかった。もしアメリカからの依頼があればオクタを出す場合もあるかも知れん。その時はよろしく頼むぞ!』

「はっ!!」

 +  +  +  +  +

 アメリカ軍の懸命の捜索にも拘わらず、ハワイ近海からは何も発見されないまま、数時間が経過した。

 「光る球」のニュースは即座に世界中を駆け巡ったが、何も見つからないため、かつての「マーラ襲来」を連想させ、いたずらに人々の不安を掻き立ててしまった事は否定出来なかった。

 +  +  +  +  +

 それは突然オアフ島の海岸に姿を現した。

「何ダ、アレハ?!」

 沖合いの海面が黒くなったと思う間もなく、巨大な黒い人型の「怪物」が出現したのである。

「グワアアアアアアアアッ!!!!!」

「ワアアアアアッ!!」
「キャアアアアッ!!」
「ワアアアアアッ!!」
「キャアアアアッ!!」

 多数の海水浴客は一斉にパニックとなり、悲鳴を上げて逃げ惑う。しかしその怪物は、猛然と海岸に上陸すると、手当たり次第に人々をその「手」に掴み、口に運び出したのである。

バリバリッ!!

「ワアアアアアッ!!」
「キャアアアアッ!!」
「ワアアアアアッ!!」
「キャアアアアッ!!」

 怪物の口の回りは鮮血に染まり、肉片は周囲に飛び散る。その様子を見た人々は、恐怖の余り立ちすくむしかなかった。

 +  +  +  +  +

トゥルルル トゥルルル トゥルルル

「はい! JRL松下です!」

『高沢だ!! 松下君!! ハワイに怪物が出現したぞ!!』

「なんですって!!!! まさか、またマーラが!!??」

『詳細は不明だが、アメリカからの情報ではマーラ特有のノイズパターンは検知されていない! こちらと同時にそちらのコンピュータにも映像に送って貰うから、すぐに分析してくれ!!』

「了解しました!!」

 +  +  +  +  +

 松下は騒然としている中央制御室に駆け付けた。

「末川君!! 映像は入って来たか!!?」

「今受信中ですっ!! ……受信完了! 映像出ますっ!!」

「ああああああああっ!!!」
「ああああああああっ!!!」
「ああああああああっ!!!」
「ああああああああっ!!!」

 メインモニタに打った映像に中央制御室の全員が息を飲んだ。

 黒い体、細い手足、鰓のような脇腹、嘴の尖った顔。メインモニタに映った怪物の姿は、紛れもなく「使徒・サキエル」だった。

 +  +  +  +  +

バリバリバリバリッ!!!

ドオオオーーーンンッ!!

「グワアアアアアアアッ!!」

 ハワイの基地から出撃したアメリカ空軍機はホノルル市街地に入ったサキエルに激しい攻撃を加えていた。しかし、「使徒」には通常兵器は全く効かないのか、サキエルは「何処吹く風」と言った調子で激しく暴れ回り、手当たり次第に破壊行為を行っていた。そして、逃げ遅れた人々の死体を見つけるや、掴み上げて口に運んでいた。

 +  +  +  +  +

 JRL中央制御室。

 松下が怒鳴り声を上げ、

「末川君!! オモイカネの記録との照合結果はどうだ!!」

 真由美が振り返り、

「間違いありません!『カオス・コスモス』の時に出現した『使徒』です! 但し、映像分析では体高は約26メートルです!!」

「以前のヤツより少し小さいのか?!」

「そうです!」

 そこに駆け付けて来た由美子が、

「ハワイにマーラが出たんですって!!?」

 松下が振り向き、

「お! 中畑君、いやすまん、山之内君か! 今回はマーラじゃない!」

「ああっ!! これは!!『使徒』??!!」

と、顔色を変えた由美子に、松下は、

「そうだ!! ハワイのオアフ島にこいつが現れたそうだ!」

「こちらの対応はどうするんです?! オクタⅡを出すんですか?!」

「オクタⅡは元々戦闘用として開発されていない! 困った事に武器システムがまだ不充分なんだ!!」

「じゃ、前のオクタを!?」

「まともな状態で残っているのはヤキシャとキナラだけだ! ナーガは片足が破損したままだしな! それに、退役したままで保存してあるから整備も不充分だよ! クソっ!! 何て事だ! こんな時に!」

「とにかく前のオクタを出せるようにした上で、オクタⅡに武器を追加する必要がありますね!」

「機関部に、前のオクタの武器を装備させるように指示してある! 君はパイロットに連絡して、いつでも出られるように待機させておいてくれ!!」

「了解しました!! ナーガの修理はどうなんです?!」

「一応、仮にでもいいから何か付けておくようには言ってある!」

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 機関部では総員が全力を挙げてナーガの修理とオクタⅡに武器を追加する作業を行っていた。陣頭指揮に立つ山上が怒鳴る。

「作業を急げ!! いつ怪物が日本にも来るかも知れんぞ!!」

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 ホノルルの状況は「悲惨」の一言だった。

 サキエルは何故か極めて暴力的であり、手当たり次第に周囲を破壊し、人々を殺し、そして食らいまくった。上陸してから2時間も経たない内に犠牲者は3000人を超え、市街地での破壊行為による被害も甚大である。

 アメリカ軍も全力を挙げて攻撃を行っていたが、何の効果も上げられず、戦死者も増える一方だった。

 国防総省はアメリカ本土からの緊急応援部隊の編成に躍起になっていたが、なにしろ遠く離れたハワイの事である。おいそれとは行かない状況に歯噛みしていた。

 +  +  +  +  +

 由美子の連絡を受けたかつてのオクタヘドロンのパイロット達六人が続々と中央制御室の隣の作戦室に駆け付けて来た。

「全員揃ったわね! 状況を説明します!」

 由美子がモニタのスイッチを入れる。

「!!!!!!!!!」
「!!!!!!!!!」
「!!!!!!!!!」
「!!!!!!!!!」
「!!!!!!!!!」
「!!!!!!!!!」

 そこに映った映像を見た六人は一様に顔色をなくした。特にかつてアスラでサキエルと戦ったマサキの驚き振りは尋常ではなかった。

 +  +  +  +  +

 サキエルがオアフ島に上陸して数時間が経過した。ハワイのアメリカ軍も最早なすすべもなく、その破壊活動を遠巻きに見守る以外ない。そして、国防総省が「最後の手段」として核攻撃も視野に入れ始めた頃、

「コチラ965、怪物ガ移動ヲ開始シタ! 追跡スル!」

『了解』

 偵察機が上空を旋回しながらサキエルの動きを追う。サキエルは歩みを速めて海に向かっていた。

 +  +  +  +  +

 由美子からの説明を受けた後、マサキが、

「そしたら、場合によったら僕らがオクタⅡで出撃するんでっか?!」

 由美子は頷き、

「今の所はそれはないわ。『使徒』が出たのはハワイだしね。それに、オクタⅡは元々戦闘用じゃないし、改造もまだ完了していないのよ。前の戦闘用のオクタは3機しか残っていないし、まだ整備中だからこちらもすぐには出られないわ。とにかく現在は状況を把握しておいて、もし『使徒』が日本に来た時は、自衛隊と協調して作戦行動に出なければならない場合がある事だけは頭に入れておいてちょうだい」

 その時、松下が入って来て、

「中畑君、あ、いや、山之内君!」

 由美子は振り返り、

「あ、本部長。状況はどうでしょうか?!」

「『使徒』が海に消えたそうだ! アメリカは本格的に『戦争』の準備を整えているぞ!」

「では、最悪の場合、日本に来る可能性も?!」

「政府は自衛隊に迎撃の準備を指示した。すぐにJRLにも指示があると思うから、そのつもりでいてくれ」

「了解しました。……じゃ、みんな、申し訳ないけど、今本部長が仰った通りだから、スマートフォンの電源はいつも入れておいてちょうだい。これで一応解散します。……あ、それから一応念のために言っておくわ。またこんな事になってしまったけど、もしどうしても嫌なら言ってちょうだい。あなた達に決して無理強いをするつもりはないから」

 サトシ、リョウコ、アキコが、

「はい。わかりました」

「了解しました」

「わかりました」

 マサキ、タカシ、サリナも、

「了解です」

「了解しました」

「わかりました」

 +  +  +  +  +

 パイロット達が帰った後、由美子と松下は中央制御室で情報分析作業を見守っていた。

 そこに、山之内が現れ、

「どうですか。状況は?」

 松下が振り向き、

「お、山之内君か。今の所、新しい情報は入って来ていないよ。……しかし、またこんな事になるとはな……」

「そうですね。……ところで、あくまでも私の考えなんですが、今回は前とは状況は違うのでは?」

 ここで由美子が、山之内に、

「それ、どう言う事?」

「今回はマーラ特有のノイズパターンが検出されていないだろう。つまり、あいつは『使徒』であっても、『マーラ』ではないと言う事だよ」

「じゃ、今回『使徒』が現れたのは、『魔界』の影響ではないと言う事なの!?」

「それはわからんよ。しかし、今回は前とは状況が明らかに違うと言う事だけは頭に入れておいた方がいいと思うがな」

 その時、松下が、

「……山之内君」

 山之内と由美子が同時に、

「はい」
「はい」

 松下は、少し苦笑して、

「お、これはすまん。申し訳ないが、今後総務部長の事は由美子君と呼ばせてもらうよ。構わんかね」

 由美子は頷き、

「はい。どうぞ」

 松下は、山之内の方を向き、

「では、改めてだが、山之内君」

「はい」

「今回の状況が、もし前と全く違うとすれば、我々が持っているデータは通用しない。急で申し訳ないが、君を特命担当とするから、すぐに情報部と連繋を取り、中之島博士とも相談して、『オカルティズム』の観点に立った状況分析を進めてくれ」

「了解しました」

 +  +  +  +  +

 日本時間5月18日2:00頃。

 アメリカは全力でハワイから消えたサキエルの足取りを追っていたが、その行方は杳として知れなかった。

 サキエルの襲来が世界各国、特に太平洋沿岸諸国に与えた衝撃は並大抵の物ではなかった。すぐに各国とも防衛態勢の整備に全力を挙げていたが、アメリカ軍の通常兵器が全く役に立たなかった事実は、各国の政府や軍隊に深刻な影響を与えている。

 国連では緊急安全保障理事会が開かれ、今後の対応が協議されたが、「使徒との全面核戦争」も視野に入れる必要があるとのアメリカの主張は安保理事会を動揺させるのに充分だった。

 日本では政府と自衛隊が防衛態勢を整えつつあったが、もし「使徒」の襲来の際にはオクタヘドロンの出撃が必要であるとの認識は一致していた。

 +  +  +  +  +

 その頃サトシは自室で暗い気持ちになりながら、眠れずにイライラしていた。

(……どう言う事なんだ。『使徒』が現れるなんて……。!!! もしかしたら、『向こうの世界』で何かが起きたのか!!? ……レイ……)

 その時、

トゥルルル トゥルルル トゥルルル

「はいっ!! 沢田です!!」

『由美子です!! 潮岬に「使徒」が出現したわ! すぐに本部に来て!!』

 続く



この物語はフィクションであり、登場する人物、団体は全て架空の物です。

BGM:'たとえ、君を抱いても ' composed by QUINCY (QUINCY@po.icn.ne.jp)

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