第三部・トップはオレだ!



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第十四話・起死回生

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(弐号機の所に駆け付けた初号機)

シンジ「アスカ!!!」

「グワアアアアアアアアッ!!」

(突如弐号機は再び咆哮して初号機に襲い掛かる)

シンジ「うわあああっ!!!」

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ミサト「マヤちゃん! なんとかプラグを排出できないのっ!?」

マヤ「だめですっ!! 何度指令を送っても全く受け付けませんっ!!」

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(寸前で弐号機の攻撃を躱し、一歩後退してロンギヌスの槍を構える初号機)

シンジ「アスカ! やめろっ!!」

「グワアアアアアアアアッ!!」

(しかし無論アスカから返事がある訳もない。ナイフを取り出して構える弐号機)

シャキイーーンッ!!

シンジ「くそっ! ナイフか!」

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(発令室。顔色を変える冬月)

冬月「いかんっ!! 初号機! 槍は使うな! 一撃で弐号機パイロットを殺しかねんっ!!」

(驚いて冬月の方に振り向くミサト)

ミサト「!!!!」(なんですって!? あの槍はそんなに強力なの!)

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シンジ「……くそっ! ナイフ装備!」

ブゥゥンンンッ!!

(プログナイフを構え、初号機に今にも襲い掛からんとする弐号機。初号機もやむを得ず槍を後方に放り投げ、同じくナイフを持って身構える。ジリジリとした対峙が続く)

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ミサト「弐号機外部電源パージ! 燃料電池電源カットして!」

マヤ「電源カット! 弐号機、内部電源に切り換わりましたっ!! 活動限界まで後4分55秒!!」

青葉「弐号機のシンクロ率が300%を突破!」

日向「零号機起動完了!! 射出しますっ!!」

ミサト「レイ! 頼んだわよっ!! 初号機をバックアップしてっ!」

レイ『了解!』

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(世界各国のネルフ支部を鎮圧する軍隊のシーンをバックに字幕とナレーション)

「丁度その頃、全世界のネルフ各支部を各国の軍隊が急襲。着々と鎮圧が続いていた。無論、事情を知らない一般職員に対する殺戮が行われた訳ではなく、事実上の『無血開城』であった」

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(首相官邸)

秘書官「総理、各国のネルフ支部は順調に鎮圧されています。抵抗はありません」

総理「そうか。無用の血を流さずに済んで幸いだった。……ゼーレの方はどうだ?」

秘書官「時刻から見ますと、もう間もなく『実行』に移されます。……それから、『例の件』ですが、こちらも第3新東京に間もなく到着します」

総理「わかった。……間に合ってよかったよ。量産型9機ともなれば、エヴァ3機では少々苦しいだろうからな」

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(対峙を続ける初号機と弐号機)

シンジ「くそっ!! どうすりゃいいんだっ!!」

(そこへ零号機が射出される)

レイ『碇くん! わたしが弐号機をおさえるわ! その間になんとかしてっ!』

シンジ「綾波!」

ミサト『シンジ君! レイ! すぐに量産型が来るわっ! 今の内になんとしてもプラグを抜き取ってっ!』

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(ターミナルドグマ。ゲンドウと裸体の『レイ』。その向こうには十字架に架けられた「アダム」。そちらをちらりと一瞥した後、『レイ』と向かい合うゲンドウ)

ゲンドウ「レイ、ここに眠るリリスと一体となる時が来た。心の壁を取り払い、ATフィールドを解き放て」

(無言でうなずく『レイ』。驚いた事に、「アダム」と思われていた「巨人」は「リリス」だったのだ)

ゲンドウ「床に仰向けに横たわれ」

(微笑を浮かべたまま床に横たわる『レイ』。恐るべき事に、ゲンドウは服を脱ぎ捨て、眼鏡も外して全裸になった)

ゲンドウ「……行くぞ……」

(右手一本で『レイ』の脚を開き、上に覆い被さるゲンドウ)

「グッ!」

(ゲンドウの「体」が『レイ』の「中」に……)

『レイ』「……うっ!」

ゲンドウ「うっ、……あっ、……はあ、はあ……」

『レイ』「あっ、……ああっ、ああっ……」

ゲンドウ「あっ、……あっ、……うっ、……はあっ、はあっ……」

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シンジ「綾波! 弐号機の後に回ってくれっ! 僕が弐号機に組み付くから、後からプラグを抜くんだっ!」

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レイ「了解!」

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シンジ「行くぞっ!!」

(初号機はダッシュして弐号機に迫る。弐号機もナイフを構えて初号機に突進する)

ガツンンンッ!!

シンジ「ぐうううううっ!!」

(お互いのナイフで腹部を刺し違い、「相討ち」になった両機。シンジの脇腹に激痛が走る)

シンジ「綾波! 早くっ!!」

(零号機はすばやく弐号機の背後に回り込み、エントリープラグ挿入部のカバーをむしり取る。しかし、その瞬間、弐号機は目にも止まらぬ早さで初号機に突き立てたナイフを抜くと、体を反転させて零号機の腹部を横に薙ぎ払う)

バスウウウッ!!

レイ「くうううううっ!!」

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ミサト「シンジ君! レイ!」

日向「量産型、ジオフロント上空に到達! 旋回を始めましたっ! 映像出しますっ!!」

冬月「おおおっ!!……」

(大写しになった量産型9機。その背中にはなにやら筒のような物が)

冬月(あれは! ……まさか! ロンギヌスの槍のコピーか!?)

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ゲンドウ「はあっ、はあっ、はあっ、……いくぞ。……うっ!!」

『レイ』「……うっ!!」

(恐るべき事に、ゲンドウと『レイ』の肉体が溶け始め、オレンジ色の液体へと変化して行く。そして二人が完全に溶けて混ざり合った時、その液体はまるでスライムのような粘液となり、十字架に架けられた「リリス」の方に向かって動き出して行った)

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シンジ「くそっ!!」

(弐号機が背中を見せた一瞬を捉え、背後から飛びかかる初号機)

ガシイイッッ!!

レイ「碇くんっ!!」

(腹部を斬られながらも、零号機は弐号機の正面から掴みかかる)

レイ「碇くんっ!! プラグをっ!!」

シンジ「綾波っ!!」

(初号機は素早く弐号機のプラグの先端に手をかけ、掴み出そうとするが、弐号機は素早く身をよじって初号機の手を振り払う)

シンジ「くそおおっ!!!」

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ミサト「シンジ君!! 早くしないと量産型が来るわっ!!」

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レイ「碇くん! 早くっ!」

シンジ『くそおおっ!! どうすりゃいいんだっ!』

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(モノリスのホログラム映像によるゼーレの会議)

キール『全てシナリオ通りだ。アダムの分身たる弐号機は完全に我等の手の内に入った』

02『リリスの分身たる零号機も手に入れた』

03『今こそ、儀式を行う時だ』

04『さよう。では儀式を、(バスッ!!) ぎゃあああっ!!』

キール『どうした?! 何があった!!??』

05『(バスッ!! バスッ!!)ぎゃあああっ!!』

06『なんだ!? どうした!?(バスッ!!)うわあああっ!!』

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(キール・ローレンツの自室)

キール「なんだ!! どうしたと言うのだ!?」

工作員「そこまでだ」

キール「なにっ!!!??」

(驚いて振り向くキール。そこには一人の男がサイレンサー付きの拳銃を構えて立っていた)

キール「貴様っ!!」

工作員「貴方に神の御加護があらん事を」

バスッ!!

キール「ぎゃあああああああああっ!!!!」

(プロの工作員の弾丸がキールの頭を直撃した)

バスッ!! バスッ!! バスッ!!

(表情一つ変えずに拳銃を連射した後、退室する工作員)

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(世界各国のゼーレのメンバーの死体が転がるシーンをバックに字幕とナレーション)

「世界各国に潜むゼーレのメンバーの元に潜入したプロの工作員は、ほぼ同時刻に任務を完了した」

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(第3新東京市郊外。地響きを立ててやって来る黒い影。そこには双眼鏡を持った加持の姿が)

加持「来たな」

(双眼鏡を覗く加持。驚いた事に、黒い影はジェットアローン(JA)だった。側には戦自のVTOLが数機。無線機を手にする加持)

加持「時田さん。ではお願い致します」

時田『了解。では早速作戦行動に移ります。JA、最大戦速で攻撃開始!!』

ドッドッドッドッドッドッ!!!

(突如JAはスピードを上げ、市街地中心部へ向かって走り始めた)

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(組み合ったまま揉み合いを続ける弐号機と零号機。突如そこへ量産型が1機舞い降りて来た)

シンジ「くそおおおっ!! 来たなっ!!」

(咄嗟に槍を拾い、舞い降りて来た量産型に突き立てる初号機)

ドスッ!!!

シンジ「このおおおっ!!」

(突き立てた槍を振り回す初号機。量産型は振り飛ばされて近くのビルに激突)

ドオオオオンンッ!!

(激突した量産型、活動を停止する。上空には残り8機が旋回を続けている)

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(ターミナルドグマ。オレンジ色のスライムはリリスの脚にへばりつき、上へとよじ登って行く。そして、リリスの股間から体内に侵入して行った。突然、光り出すリリス)

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青葉「弐号機のシンクロ率が350%を突破しましたっ!」

冬月「なんだとっ! よし! こうなったら賭けだ! 弐号機のプラグに電流を流せ! それぐらいの電気は残っているだろう!」

ミサト「どう言うことですっ?!」

冬月「シンクロ率が350%を越えていると言う事は、パイロットへの刺激はわずかでも、エヴァには増幅されて伝わるはずだ!! パイロットが死なん程度に流せ!」

ミサト「了解! マヤちゃん! やって!!」

マヤ「はいっ!!」

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アスカ「…………」

(弐号機エントリープラグ内。眼の据わったアスカ。そこへ電流が)

バチイイイイッ!!!

アスカ「きゃああああああっ!!」

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「グワアアアアアアアアッ!!」

(突如、身をよじって悶え苦しみ、零号機から離れてうずくまる弐号機)

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シンジ「なんだっ!!??」

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レイ「なにっ!!??」

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(突如意識を取り戻したアスカ)

アスカ「はっ!! あたし、どうしたのっ!? うわああああっ!! また頭の中にっ!!」

(アスカの脳裏に「歓喜の歌」と共に、過去の嫌な思い出とカヲルの顔が流れる)

シンジ『アスカっ!! しっかりしろっ!!』

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マヤ「アスカの意識が戻りましたっ! しかし、相変わらず別の脳波が混ざっていますっ!!」

青葉「弐号機のシンクロ率、急激に低下! 200%を切りましたっ!」

日向「何か別の物体が急接近していますっ!! 映像出ますっ!!」

(メインモニタに大写しになったJA)

ミサト「ああっ!! あれはジェットアローン!!??」

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アスカ「うわああっ!! うわあああっ!!」

シンジ『アスカ!! しっかりするんだっ!!』

アスカ「ううっ!!……、シンジ?……」

(シンジの呼び掛けに僅かに自分を取り戻し、懸命に意識を保とうとするアスカ)

アスカ「ううっ!! くそおおおっ!! ……あたしは、あたしは、……こんなことでまけてらんないのよおおっ!!!」

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(エヴァ3機の所へ猛スピードで向かうJA)

ドッドッドッドッドッドッ!!!

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シンジ「あれはっ!! JA??!!!」

レイ『ああっ!!? 量産型がっ!!』

(突如、ビルに叩き付けられて活動を停止した筈の量産型が起き上がった。それに呼応するかのように、一斉に上空の量産型8機がゆっくり舞い降りて来た)

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青葉「弐号機のシンクロ率が150%を切りましたっ!!」

マヤ「アスカの脳波が強まっていますっ! 別の脳波に対抗していますっ!」

日向「弐号機活動限界まで後2分!!」

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(復活した量産型は背負ったケースから槍を取り出した)

シンジ「まさかっ!? あれもロンギヌスの槍!!??」

(槍を構えて猛スピードで3機のエヴァに迫る量産型)

シンジ「うわああああっ!! 来たぞおおおっ!!」

(槍を持って身構える初号機。零号機もナイフを出して構える。弐号機はまだうずくまったまま)

シンジ「綾波!! 弐号機をたのむっ!!」

(突如、量産型の前に黒い影が飛び出した)

ドスウウウウッ!!

シンジ「ああああっ!! アスカあああっ!!!」

(飛び出した影は弐号機だった。頭部を完全に槍で貫かれた弐号機)

シンジ「アスカっ!! アスカあああっ!!!」

ドカアアアアッ!!

(その時、驚くべき事に、弐号機は槍を手で掴むと凄い勢いで量産型を蹴り飛ばした)

シンジ「アスカっ!!??」

アスカ『……だいじょうぶよ……。シンジ……。いまの一撃で頭の中の使徒はたおしたわ……。今度はこっちの番よおおおっ!!』

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マヤ「別の脳波が消えましたっ!! シンクロ率も100%に回復!!」

ミサト「アスカ!! だいじょうぶなのねっ!!」

アスカ『モチロンよおおおおおっ!!』

ミサト「よしっ!! 燃料電池接続してっ!!」

マヤ「はいっ!! ……接続しましたっ!!」

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アスカ「うおおおおおおおおっ!!」

(頭部に突き刺さった槍を素早く抜き取ると、蹴り飛ばした量産型に激しく突き立てる弐号機)

「グワアアアアアアアアッ!!」

(再び活動を停止する量産型)

シンジ『別のやつが来たぞおおおっ!!』

(上空から舞い降りて来た量産型8機。丁度その時JAも駆け付ける)

ドッドッドッドッドッドッ!!!

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「新世紀エヴァンゲリオン Another Case」

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「前半が終わりました。後半に行きますわね」

と、言って、手早くリモコンを操作するゆかりに、サトシとアキコは、無言で頷いた。

 続く



この物語はフィクションであり、登場する人物、団体は全て架空の物です。

BGM:'たとえ、君を抱いても ' composed by QUINCY (QUINCY@po.icn.ne.jp)

トップはオレだ! 第十三話・自業自得
トップはオレだ! 第十五話・生々流転
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