第二部・夏のペンタグラム
ネルフ付属病院・第一脳神経科303号病室。
ベッドで人形のように寝ているアスカ。
「ミサトさんも、綾波もこわいんだ。……たすけて、……たすけてよ、アスカ」
「ねえ起きてよ、ねえ」
「目をさましてよ! ねえ、ねえ! アスカあ、アスカ、アスカ!……」
「たすけてよ。……たすけてよ、たすけてよ、たすけてよ……」
「また、いつものように僕をバカにしてよ!!」
「ねえ!!」
アスカを揺り動かすシンジ。
「はっ!!……」
パジャマの前がはだけ、アスカの豊かなバストが顕わになる。しかしアスカには何の反応もない。
ふらふらと夢遊病患者のように歩み、病室のドアのロックを確認するシンジ。
…………、…………、…………、…………。
「……はあっ、はあっ、はあっ、……うっ!……」
シンジの右手に「白い液体」が……。
「……最低だ……。俺って……」
……シンジ? シンジなの?……。なにしてんの?……。
……なんでそんなことしてんの?……。
……なんだこれは?……。僕はなんでこんな事してるんだ……。
+ + + + +
第三十九話・抜苦与楽
+ + + + +
マンションのリビング。
「なにか役に立ちたいんだ。ずっといっしょにいたいんだ」
「じゃあなにもしないで。……もうそばにこないで。……あんたあたしをきずつけるだけだから」
「アスカ、たすけてよ。ねえ、アスカじゃなきゃだめなんだ」
「……うそね……」
「はっ!……」
「あんただれでもいいんでしょ! ミサトもファーストもこわいから! お父さんもお母さんもこわいから!」
「アスカ……」
「あたしに逃げてるだけじゃないの!」
「アスカ、たすけてよ!」
「それが一番楽できずつかないもの」
「ねえ、僕をたすけてよ!」
「ほんとに他人を好きになったことないのよ!!」
シンジを突き飛ばすアスカ。コーヒーと一緒に床に投げ出されるシンジ。
「自分しかここにいないのよ! その自分も好きだって感じたこと、ないのよ!」
シンジを見下ろすアスカ。
「あわれね」
「たすけてよ……。ねえ、誰か僕を……。おねがいだから僕をたすけて……」
「…………」
「たすけてよ! 僕をたすけてよ!」
椅子やテーブルを投げ、叫ぶシンジ。
「たすけてよ! 僕をたすけてよ! 一人にしないで! 僕を見捨てないで! 僕を殺さないで!」
「……いや」
突然シンジがアスカに襲いかかり、首を締める。
「……う……、ぐ……」
……いや! やめて! 死ぬのはいや! いやああああっ!!!……。
……ええっ?! なんだっ?! なんで僕はこんなことをっ!!!……。
+ + + + +
破滅した街。オレンジ色の海。
その渚にヒトとしての形をとどめた一人の少年と一人の少女。
少女の左腕には包帯が、右目には眼帯が。
空には赤い帯。
巨大な「少女の形をした物体」の残骸。
少し離れた渚には、十字架の形になった「トカゲのような怪物」の残骸が数体。
少年は涙を流しながら、少女に馬乗りになってその首を締めている。
しかし、その腕に力を込めようとしても、どうしても込められない。
少女は抗う事もせず、少年のなすがままになっている。
しかし、やがて少女はその右腕をゆっくりと持ち上げ、少年の頬を撫でた。
少年は少女の首から手を離し、激しく鳴咽を始めた。
少年の涙が少女の頬に落ちる。
少女はぽつりと呟いた。
「きもちわるい」
……なんだこれは?……。僕はなんでこんな事してるんだ……。
その時、少年と少女の肉体が溶け始め、みるみる内に骨だけとなって行った。
……えっ!! なにこれ!!? あたし、とけるの?! 死ぬの!?……。
……わあっ!! なんだ!? どうなってるんだ!!?……。
……いや! やめて! 死ぬのはいや! いやああああっ!!!……。
+ + + + +
「うわあああああああああああっ!!!!」
+ + + + +
「きゃあああああああああああっ!!!!」
+ + + + +
「はっ!!! なんだ今のは!! …………夢!!?? アスカの声?」
+ + + + +
「はっ!! これなによっ!! …………夢!? ……シンジ?」
+ + + + +
シンジは汗びっしょりになりながらベッドから飛び起きた。
(たしかにアスカの悲鳴だった!)
+ + + + +
アスカも慌ててベッドから飛び降りて部屋を出た。
(まちがいないわ! シンジの声だった!)
+ + + + +
同時に部屋を飛び出した二人の眼に、薄明かりのリビングで顔色を変えているお互いの姿が飛び込んで来た。
「アスカ……」
「シンジ……」
シンジの顔を見た瞬間、アスカの心に、さっき見た夢の恐怖と、夢でよかったと言う安心感が同時に湧き起こって来て、
「夢、なのよね……。あれは、夢、なのよね……」
「えっ?」
「シンジ……。うっ、……ううっ、……うわああああっ!!」
アスカは我慢出来なくなり、大声を上げて泣きながらシンジに抱き付いた。
「うわああっ!! あれは夢なのよね! ……あんなこと、ほんとはなかったのよね! うわあああっ!!」
「アスカ……」
シンジは呆然としたままアスカを抱きしめている。
「……シンジ……、ぐすっ……、ひっく……」
「だいじょうぶ?………」
「……シンジ、……あたし、今日はこのままじゃこわくてねられない……。ねえ、おねがいだから、ねられるようにしてよ……」
「えっ!?………」
今のシンジにはアスカの言葉の意味は充分判っていた。シンジは何も言わずにアスカの肩を抱くと、そのまま自分の部屋に向かった。
+ + + + +
シンジはアスカをベッドに座らせ、自分はその右側に並んで座った。
「……アスカ、好きだよ……」
思わずシンジはそう口走りながらアスカの左肩に左手を回して抱き寄せ、左胸に自分の右手を伸ばした。
ブラを着けていない、Tシャツ一枚の上から触れるアスカのふくよかな胸……。
柔らかくて、温かくて、張りのある乳房……。
可愛い乳首の感触さえ掌に伝わって来る……。
「……あ、……シンジ……」
アスカは小さな、しかし熱くて甘い吐息を一つ漏らした。
シンジは今までにない、熱く、痛い程の膨張感を下半身に感じながら、アスカの胸を撫で続けている。
……あ……。
アスカの乳首が固くなって行く。
……そうだ。……女の子の体って、こうなってるんだった……。
アスカはシンジに寄り添い、瞳を閉じて左肩に頬を置いている。
少しずつ二人の体は密着して行った。
「……シンジ、……きもち……いいよ……」
「……アスカ……」
「……もっと……きもち……よく……して……」
「え? ……うん……」
シンジは、アスカの胸に添えた手をシャツの内側に入れようとした。
「……ちがう、……そうじゃないの……」
少し不満気なアスカの吐息。
「えっ?……」
……ちがうのか? ……どうしよう……。
シンジが手の力を緩めた時、アスカの左手がシンジの右手を取り、彼女の下半身にそっと導く。
(えっ!! ……アスカ……)
シンジは驚いて息を呑み、
「……でも、……アスカ、……いいの?……」
しかしアスカは、シンジの驚きなどお構いなしに、
「……あついな……。服、ぬがせて……」
「!!! ……アスカ」
「あんたも……、ぬぎなさいよ。……あついでしょ……」
シンジは頭が真っ白になったまま、アスカのTシャツを剥ぎ取る。薄暗い部屋の中にアスカの美しい上半身が浮かび上がり、シンジは息を飲み込んだ。
「……シンジもぬいでよ……」
「……う、うん……」
シンジは夢中でシャツを脱いだ。二人とも上半身裸で向かい合っている。
「……まだぬいでないでしょ……」
「……うん。……わかったよ」
この時のシンジには何故か羞恥心もためらいもなかった。ただただ頭の中は真っ白であり、下半身の熱さだけが全身を支配していた。
シンジは自分のパンツに手をかけると勢い良く剥ぎ取った。
そしてアスカの下半身に手を伸ばし、下着に手をかけると、そっと下ろした。
「……アスカ……」
シンジは興奮の極みにあった。目の前にいるのは全裸のアスカである。
「……シンジ……」
どちらからともなく二人は寄り添って、生まれたままの姿で抱き合い、そのままベッドに横たわった。
二人はベッドの上で少し体勢を変えた。シンジは、仰向けになっているアスカの右側に並び、横を向いてアスカの上半身に自分の上半身を寄せる。
相手の肌の感触が自分の肌に伝わって来る……。
その時アスカが少し動いた。すると、熱く膨張したシンジの下半身が直接アスカの右腰あたりに密着してしまったのである。
シンジはその感触に驚愕した。
「!!!!!……」
「!!!!!……」
アスカも少し驚いたようだ。無理もない。まともに意識する形で「膨張した男性」が自分の肌に「生で」触れたのは初めてだったのだ。
「……シンジ、……さっきのつづき、しよ……」
「うん……」
アスカはシンジの右手を取り、自分の「女性」の部分に導く。
「!! アスカ……」
「……ここよ……」
「!!!!!!」
シンジは初めて触れる、「温かく湿潤な、女性」に驚愕した。
「……ここさ、やさしく……なでてよ……」
「……う、うん……」
シンジは中指でアスカの「真珠」にそっと触れた。そして指をゆっくり動かし始める。
「……う、……シンジ……、きもち、いいよ……」
………、………、………、………、………
「……はあ、……はあ、……アスカ……」
シンジとしても大変な事になっていた。密着しているアスカの体の動きで自分の「男性」がゆっくり揉まれるようになってしまったからだ。快感が全身を走る。アスカもそれが判っているのか、ますますシンジに体を密着させて来る。
「……う、……う、……シンジ……」
「……あ、……あ、……アスカ……」
シンジの中指は段々温かい液体に包まれて行った。
……女の子って、……こんなふうになるのか……。
………、………、………、………、………
柔らかくて温かいゼリーをかき回すような感触に驚きながら、シンジはアスカの「真珠」を撫で続ける。そして自分の下半身を夢中でアスカの体に密着させて腰を動かしていた。
その時だった。アスカはそっと右手を動かし、いきなりシンジの「体」と自分の腰の間のあたりに差し込んで来た。
……えっ!!??……
シンジは思わず反射的に少し腰を引く。その瞬間、アスカの手がシンジの「体」を優しく包み込んだ。
「アスカ!……」
「……あ、……シンジ……、なにも、……いわないで……、つづけて……」
……スッ、ススッ、ススッ、スッ、スッ……
「……あっ、ああっ……」
アスカの柔らかい手がシンジの「体」を優しく撫でる。そのややぎこちない動きがシンジの「体」にはこの上もない快感となって伝わって来た。
「……あ、アスカ……」
快感に身を委ねながらも、シンジは中指を動かす。しかし、流石にリズミカルに動かす訳には行かない。「初めて」のシンジには、快感を楽しみながら手を自由に動かす等と言う事は出来ない相談だった。
……、…………、………、…………、……
「……あ、……シンジ、……すごく、……いいよ……、う……」
しかし「怪我の功名」と言うべきか、シンジの指の動きの「ぎこちなさ」は、却ってアスカの快感を倍加させていた。
「……あ、……う、……シンジ……」
「……あ、アスカ……、あ……、う……」
二人はもう何も考えられなかった。ただただ快感に身を委ねながら手を動かしているだけである。
……スッ、スッ、ススッ、スッ、ススッ……
…………、………、…………、……、………
「……ううっ!!」
「……あうっ!!」
ほぼ同時に二人の全身に「しびれるような最後の快感」が走った。二人は暫くどうする事も出来ず、肩で息をしながらそのままじっとしていた。
やがてシンジはそっと体を起こし、アスカの顔を改めて見た。アスカは薄目を開けてシンジを見ている。
……なんて、きれいなんだ……。
シンジはアスカの唇に自分の唇をそっと重ねた。
その時シンジは自分の下半身のあたりの「濡れた感触」に気付き、
「……あ、アスカ、ごめん。……今、ふくからさ……」
「……うん。……ありがと……」
シンジは枕元のティッシュを取ると、自分のせいで濡れたアスカの腰と自分の下半身、そしてアスカの手と自分の手を丁寧に拭いた。
続く
この物語はフィクションであり、登場する人物、団体は全て架空の物です。
BGM:'アヴェ・マリア(カッチーニ) ' mixed by VIA MEDIA
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