第二部・夏のペンタグラム




(これは!……)

 「喫茶店・式神」で、「2冊目の『原初の光』」を目にした加持は、努めて平静を装いながらも、内心の動揺を押さえる事が出来なかった。

 +  +  +  +  +

第二十三話・暗中模索

 +  +  +  +  +

(うむ!……)

 素知らぬ顔で店内を再度そっと見まわすと、本棚にあった「原初の光」を手にして席に戻り、そっと開く。

「お待たせ致しました」

 その声に顔を上げると、主人らしい男がトレイを持って立っている。

「あ、どうも」

 慌ててテーブルに置いた「原初の光」を持ち上げると、男はコーヒーを置き、

「ごゆっくりどうぞ」

と、言って戻って行った。

 加持はコーヒーを飲みながら再度本を開き、中を確認すると、

(……間違いない。同じ本だ。……よし)

と、本を手にして立ち上り、カウンターの所へ行って、中にいる主人らしき男に声をかけた。

「すみません。こちらのご主人でいらっしゃいますか」

「はい、そうですが」

「ちょっとお聞きしたいのですが」

「はい、何でしょう?」

 +  +  +  +  +

 さてこちらは第3新東京市。初詣を終えたミサト達六人はマンションに帰って来た。

 ミサトはすっかり上機嫌で、

「さて、と、シンちゃん、今日はせっかくみんな集まったんだからさ、パーッとやりましょうよ♪ 開いてる店もあるからさ、お買い物、一緒に行ってくんない?」

「はい♪」

「アスカ、私これからさ、シンちゃんと一緒にお買い物に行って来るから、ちょーっちお留守番頼むわよ。みんなで適当にやってて♪」

「オッケー♪ まかせといて♪」

 +  +  +  +  +

 加持は、努めて平然と、

「この本の事なんですが、これはどこで手に入れられたんですか? いや、実は私も人に見せてもらった事がありまして、なかなか面白い本なので、なんとか手に入れたいと思って探し回ったのですが、なかなか見つからなくてね」

「あ、その本でしたら、ここによう来るお客さんが持って来て置いていかはったんですわ」

「え? そうなんですか。なんとかその方にお話を伺えませんかねえ」

「そうですなあ。その人、この手の本を集めたり、色々と研究したはる人なんですけど、なんや、嵐山の方に事務所を持ったはる、ちゅう事でっせ。まあ、今日は正月やさかい、いたはるかどうかは判りまへんけど、ほれ、そこのレジのとこに名刺がようけ置いてありまっしゃろ。その人ですわ」

 加持は名刺を一枚手に取り、

「これですか。一枚戴いてよろしいでしょうか」

「へえどうぞ。私もこの手の話が好きなもんやさかい、安倍晴明はんにあやかってこんな店の名前にしましてな、それで、色々と『同好の士』が来てくれはりますのや。その人もその内のお一人でしてな。そやさかい、晴明神社のとこの『式神』で聞いた、言うてもろたらよろしおます」

「そうですか。どうもありがとうございました。……あ、コーヒーおいくらですか?」

「420円です」

 加持は財布を出し、勘定を済ませると、

「じゃ、これで。……どうもごちそうさまでした。あ、本を戻しておかないと」

「ああ構いまへん。後で戻しときますさかい、ここに置いといとくれやす」

「そうですか。じゃ」

 席に戻って荷物を手にすると、加持はそそくさと店を後にした。

 +  +  +  +  +

「式神」を出た後、加持は早速名刺を見た。

(「中河原心理学研究所・中河原ユキヒロ」、か。……「嵐山」と来れば何かあるな……)

「嵐山」と言えば、「原初の光」に書かれていた「ジェネシス」の本部の場所だ。しかも、かつて加持は「向こうの世界」の「嵐山」に行っていた筈なのだ。

(今、14時か……。とにかく電話してみるか……)

 スマートフォンを取り出し、かけようとした時、

(……いや、公衆電話にすべきだな)

 根拠はなかったが、何となくそう思った加持は、公衆電話を探すために歩き始めた。

 +  +  +  +  +

「喫茶店・式神」の主人は、店の奥に引っ込むと何処かに電話をかけていた。

「一人来ました。仰った通りに名刺を渡しました」

『そうか。ご苦労だった。で、どんな奴だ?』

「30過ぎぐらいの男です。長髪を後に束ねて括っていました」

『ほう、なるほど。で、その男の言葉遣いは関東弁ではなかったか?』

「さようで」

『わかった。多分あの男だ。しかし、まさかあいつがあの本の事を知っていたとはな。これは予想外だった』

「何か問題でも?」

『いや、むしろその逆だろう。まあ、心配するな。……(トゥルルル)……おっ、早速電話がかかって来た。切るぞ』

「はい、ではこれにて」

 +  +  +  +  +

『はい、中河原です』

「あ、すみません。第3新東京の加持と申しますが、『喫茶・式神』さんからご紹介戴きまして電話させて戴きました」

『ああ、そうですか。なんでしょう』

「正月早々から申し訳ありませんが、もしよろしかったら、『原初の光』と言う小説の事でお話をうかがいたいのです」

『そうですか。別に構いませんが、いかがなされます? 電話でよろしいか? 事務所においでになりますか?』

「もしよろしかったらお邪魔させて戴きたいのですが」

『「式神」でお聞きになられたのなら、私の名刺はお持ちですな』

「はい、戴いております」

『では、タクシーででもいらして下さい。運転手に住所を見せればわかります。それが一番早いでしょう』

「わかりました。では今から伺います」

 電話を切った後、加持は少々気を引き締めた。

(虎穴に入らずんば虎児を得ず、か……。しかし、充分気を付けないとな……)

 +  +  +  +  +

 ミサトとシンジが戻って来た。

「ただいまー♪」

 アスカは、二人が下げている買い物袋に眼を丸くし、

「わあ♪ たくさん買ってきたのねえ♪」

 ミサトは笑って、

「まーねー♪ お正月だからちょーっち奮発したのよ♪ ……じゃ、シンちゃん、悪いけどさ、少しお皿に出そうと思うから、盛り付け手伝ってよ♪」

「はい♪」

 その時アスカとレイも、

「あ、あたしもやるわ♪」

「わたしもおてつだいします」

 カヲルとナツミも、

「僕も手伝います」

「わたしもてつだいます♪」

 ミサトは一瞬考えた後、

「そう♪ じゃ、こうしようか。まだ14時だけど、今日は無礼講、ってことで、みんなでこれ全部盛り付けしといてさ、テーブルに置いとこうか。なまものは冷蔵庫に入れといてさ。食べたくなったら、みんな好きに食べる、ってことにしましょう♪」

 すかさずアスカが、

「ミサト、あんまりたべすぎると太っちゃうわよ♪」

「こらアスカ!♪」

 二人のやりとりにみんな微笑んでいた。

 +  +  +  +  +

(ここがその場所か……)

 タクシーを降りた加持は、「中河原心理学研究所」の小さな看板を確認した。そこはビルの一室などではなく、住宅街の中にあるごく普通のやや古びた感じの家である。庭も小ぢんまりとしており、一見した限りでは「研究所」には到底見えなかった。

(まあ、研究所、と言っても、「心理学」の研究所だからな……)

 加持は意を決すると、玄関のインタホンのボタンを押した。

ピンポーン

 程なく、

『はい』

「先程電話させて戴いた加持と申しますが」

『はい、少しお待ち下さい』

 暫くしてドアが開き、一人の男が姿を現した。

「どうぞ」

「お邪魔致します」

 +  +  +  +  +

 加持を案内し、書斎に通した男は、向かい側のソファで、

「私が中河原です」

 中河原は、見た所40過ぎぐらいの、特にこれと言った特徴のない男である。

「はじめまして。加持と申します」

と、加持は名刺を差し出した。無論それは個人的に作ったものであって、IBOのものではない。内務省時代からの流れで、「個人事務所」を持っているような形の名刺を作っている。住所は「私設私書箱」であり、電話は「転送電話」であった。

 中河原はそれを押し戴くや、

「ほう、第3新東京からおいでになられたのですか」

「はい、少々用事がありまして京都に参りましたが、たまたま『原初の光』の事を『式神』さんでうかがいまして」

「なるほど。で、あの本に関して何をお知りになりたいのですか?」

「私は神秘的な事にはさほど興味はなかったのですが、たまたま知り合いが持っていた『原初の光』を読みまして、単純なSF小説仕立てになっているとは言うものの、内容は『オカルティズムの教科書』だな、と感じました。

 それで少々興味を持ちまして、作者の方に連絡を取りたいと思って色々と調べたのですが、出版社も現在存在していないようで、結局わからなかったのです。

 それが、たまたま京都に来て、作者のお名前と同じの『式神』さんを見つけ、入ってみたらこの本が置いてあったので、ご主人にうかがいました所、中河原さんをご紹介戴いた、と言う事なのです。……あ、これがその知り合いから借りて来た本です」

 加持はカバンの中から「原初の光」を取り出した。

「ははあ、これですか。で、そのお知り合いの方は、どこでこの本を手に入れられたのですか?」

「ご存知のように、第3新東京はこの前の事件で大騒ぎだったのですが、その時その知り合いはその前から怪我をしておりまして、長野に疎開しておりました。その疎開先の病院に入院していた時、隣のベッドにいた人から貰った、と聞いております」

「なるほど。……実は、結論から申しますと、私もこの本は何冊か持っておりますが、全て数年前に古書店で手に入れたものばかりです。……ちょっと失礼致します」

 そう言うと、中河原は立ち上がって書棚に行き、数冊の本を手にして戻って来た。

「これがそうです」

 それは紛れもなく、「原初の光」だった。5冊ある。

「そう言う訳でして、私もこの本の著者に関しては何も知らないのですけどね。

 ……ただ、内容に関しては、あなたの仰る通り、つまらぬSF小説に仕立ててありますが、『魔法』と『密教』の実践マニュアルになっておりますな」

「そうですか。しかし、それをわざわざ『式神』さんに置いておかれたのはどうしてなのですか?」

「ははは、それはあなたがあの店にいらした理由と同じです。著者と同じ名前でしたので、ちょっとしたシャレのつもりで置いておいたのですよ」

「なるほど、そうでしたか」

「しかし、あなたも第3新東京からいらしたのならおわかりでしょうが、この本の内容と発行日は少々気になりますな」

「『セカンド・インパクト』との類似性ですか」

「そうです。この本が出たのは1999年です。それから1年後に『セカンド・インパクト』が起きました。無論偶然の一致なのでしょうが、ロボットが魔物と戦う、と言う点も、エヴァンゲリオンと使徒の事を考えると、余り気持ちのいいものではありません。この本の著者がどんな人物だったのか、私としても気になる所です」

「確かに、仰る通りですね」

「そんな訳ですので、お役に立てないようで申し訳ないのですが、私の知っている事はこの程度です」

 事件解決後、かなりの情報は公開されている。中河原が「エヴァンゲリオンと使徒」と言う言葉を発しても、加持は不思議に思わなかった。

 一呼吸置いて、加持は、

「……そうですか。どうもありがとうございました。……ところで、話は変わりますが、中河原さんはオカルティズムをご研究なさっておられるのですか?」

 中河原はニヤリと笑い、

「ははは、まあ、道楽でしてね。私は密教の方が主体なのですが、ユング心理学との絡みから色々とやっておりましてな。それで、こんな研究所の看板をあげているのですよ」

「なるほど。……どうも色々とありがとうございました。ではこれでおいとまさせて戴きます」

「そうですか。お役に立てませんで」

 加持は中河原に連れられて玄関に出た。

「正月早々、どうもすみませんでした。では失礼致します」

「いえいえ」

と、中河原が言った後、加持が出て行こうとした所へ、

「……ところで、加持さんと仰いましたな」

 加持は振り返った。

「はい」

「最初にお電話でお名前をうかがった時、植物の『梶』さんかと思いましたが、『加持祈祷』の『加持』さんとは意外でした。あなたのお名前は、オカルティストが聞いたら、一瞬、おおっ、と思いますよ」

「そうなんですか」

「そうです。『加持』と言うのは、真言密教の根本教義であり、大日如来の意義を表す言葉ですからな。……ははは、ではこれにて」

「はあ、そうですか。……どうもありがとうございました」

 中河原の研究所を辞した加持は、タクシーを拾うべく、大通りに向かって歩き出した。しかし、脳裏には中河原の最後の言葉がこびり付いている。

(俺の名前が真言密教の根本教義か……。確かに、『加持祈祷』と言う言葉は知っていたが、意識していなかった……)

 腕時計を見ると、まだ15時を少し回ったぐらいである。

(まだ間に合うな……)

 タクシーを拾った加持は、運転手に、

「寺町御池の古書店街までお願いします」

 +  +  +  +  +

 最後の手札を置いたアスカが手を叩き、

「やった! またあたしがトップだわ!」

 ミサトは苦笑し、

「あー負けちゃったあ……。もうちょっとだったのになあ……」

 シンジ、ナツミ、カヲルも、

「アスカがこんなに『七並べ』に強いなんて意外だったよ……」

「ほんとですねえ♪ でもそうそういつまでも勝たせませんよお♪ 次はがんばりますからねえ♪」

「惣流さん、7戦5勝かあ……。強いなあ……」

 意外にも、レイが笑って、

「よし、こんどはまけないわよ」

と、言うのへ、アスカも自信満々に、

「へへっ♪ どっからでもかかってらっしゃい♪ なんだったら別のゲームでもいいわよ♪」

 ミサトもそれを受け、

「よーし、じゃもういっちょう行こうか♪」

と、言った時、たまたま時計が目に入り、

「……あら、もうこんな時間なの。そろそろ晩ご飯にしようか」

 アスカも時計を見て、

「あら、もう18時半ね。じゃあ、『つぎの一戦』は、ごはんのあとね♪」

 その時、ミサトが、

「あ、それからさ、みんなどうする? よかったら今日は泊まってく?」

 カヲルが、申し訳なさそうな顔で、

「でも、着替えを持って来てないですから……」

 すかさずアスカが、

「そんなの、みんな近いんだから、とってくればいいじゃない♪ せっかくだからさ、みんなとまってけば?♪」

 ナツミも、

「いいんですかあ♪ なんか申し訳ないみたいですけど」

 ミサトは笑って、

「いいわよお♪ たまのお正月なんだから、気にしないで♪」

 ここへ来て、レイが微笑み、

「じゃ、お言葉に甘えて、わたしはそうさせていただきます」

 カヲルとナツミも、

「じゃ、僕もお言葉に甘えて」

「わたしもお言葉にあまえさせていただきまーす♪」

 その時、アスカが、

「あ、ミサト、それならさ、三人のせて車でまわったら? その方が早いんじゃない?」

「あ、そうね♪ じゃ、アスカとシンちゃんお留守番お願いね♪ 行きましょ♪」

と、立ち上がったミサトに、三人も続いた。

「はい」
「はい」
「はい」

 +  +  +  +  +

 四人が出て行った後、アスカとシンジはベランダで黄昏の街を見ていた。こうして見ると、夕闇迫る第3新東京の街並みも中々味がある。

「……ねえアスカ、こんな風にみんなで楽しくやって行けるなんて、前は考えられなかったよね」

「ほんとにそうよね。……なんか、まだちょっと信じられないきもちだわ」

「うん。……でもさ、これからもがんばってさ、みんなでなかよくやって行こうね」

「うん♪」

 +  +  +  +  +

(……こうしてみると、偶然には違いないが、俺達の名前はオカルティズムに関連しているなあ……)

 加持はホテルに陣取って、寺町の古書店街で買い込んで来た「オカルティズム関係」の本を色々と調べていた。

「加持」は言わずと知れた「加持祈祷」の「加持」だし、ミサトの姓の「葛城」は修験道の聖地である。

「シンジ」は「神事」とか「神児」と読めるし、「レイ」は「霊」だ。アスカは「飛鳥」で、日本の古代巨石文明の聖地である。

 確かにコジ付けと言えばそれまでだが、古来、オカルティストはこう言った「言葉の暗合」を重視していた事は今日買って来た本にもしばしば見受けられたし、特に「名前」に関するそのような「暗合」は最重要視していたようである。そう言う意味では、奇妙な感じを覚えずにはいられなかった。

(五大本部長の「五大」も、密教の根本教義の一つ、「地水火風空」の事だし、八雲ナツミ君の「八雲」は「出雲」の枕詞。更に、「雲」は「霊魂」の象徴か。……偶然にしても、なんかひっかかかる……)

 加持は改めて「原初の光」の著者名を見た。

(式神ゴンゾウ……、わざわざ、「式神」を名乗ったと言う事は、安倍晴明や陰陽道との関連性を暗示した、と言う事だ。その上、名前をカタカナにしたと言う事は………)

 その時、加持の頭に閃く物があった。

(この本、1999年に出たように書いてあるが、もしかしたら、実は最近バラ撒かれたんじゃないのか。だとしたら、古本屋で見つからなかったのも当然だ。……あの中河原と言う男、わざわざ俺の名前と密教の関連を指摘したのは、名前に注目しろ、と言う暗示なのか……。いずれにせよ、あの男は何か知っている。それは間違いない……)

 +  +  +  +  +

 シンジが手を叩いた。

「やった! 今度は僕の勝ちだ!」

 アスカは大量の手札を持ったまま、

「くやしーい! シンジにまけるなんて!」

 ミサトは苦笑し、

「そりゃそうよ♪ いくらアスカでもそうそう勝ってばかり、とはいかないわよ♪」

 レイ、ナツミ、カヲルは、

「わたしが2位ね」

「わたしが3位でーす♪」

「部長が4位で、僕と惣流さんが最下位争いだったね」

 アスカはシンジをジロリと見て、

「まあしかたないけど、シンジにまけたのはあたしのプライドがゆるさないわ! もういっかいやるわよ!」

 意外にも、シンジは、

「どっからでもかかってきなさい♪」

と、余裕綽々である。その様子を見ながら、ミサトは、

「…………♪」
(ほんと、この幸せ、絶対に守るからね。……加持君……)

 マンションでは和気あいあいとした時間が流れていた。

 +  +  +  +  +

 こちらは五大アキラ本部長のマンションである。

トゥルルル トゥルルル トゥルルル

「はい、五大です」

『中河原だ。かけ直してくれ』

「わかった」

 五大は一度電話を切り、何やらボタンを操作した。

「スクランブルはこれでよし、と。……もしもし」

『五大か』

「そうだ。で、どうした?」

『今日こちらに「加持リョウジ」と言う男が来た。長髪を束ねた30過ぎぐらいの男だが、そっちの職員だな』

「そうだ。あいつがそっちにたどり着いたか」

『ああ、「原初の光」を持っていたぞ』

「なに? あいつがその本の事を知っていたのか」

『うむ、著者に関して調べているようだった』

「そうか、それでどんな様子だった?」

『詳しくは何とも言えないが、私が「透視」した限りでは、あいつも何か知っている事は間違いなかろう。まあ、こっちの敵ではないと思うがな』

「うむ、それは私もそう思う。……しかし、もしあいつが『向こうの世界』に関して何か知っているとしたら、そのあたり少々注意は必要だな。まあ、こっちの味方になってくれるだろうと判断したから、ちょっとばかり『挑発』してやった事はあったが、これからはそう言うつもりで観察しておかねばならんな」

『その通りだな。……それから、我々の方の物理的手段は今の所JAだけだ。最悪の事態に備えてそっちのエヴァンゲリオン3機は絶対に確保しておかねばならん。この二つ、よろしく頼むぞ』

「わかった。ではまた」

 続く



この物語はフィクションであり、登場する人物、団体は全て架空の物です。

BGM:'夜明け -Short Version- ' composed by Aoi Ryu (tetsu25@indigo.plala.or.jp)

夏のペンタグラム 第二十二話・陰陽和合
夏のペンタグラム 第二十四話・以心伝心
目次
メインページへ戻る