第二部・夏のペンタグラム
加持は、重い口調で続けた。
「昨日の時点では、渚君の調査が終わってから記憶の整理をしよう、って言ってたが、もしよければ、一気にやってしまおうか、とも思ってね……」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
+ + + + +
第五話・怨憎会苦
+ + + + +
四人は相変わらず黙っていたが、ややあってミサトが、硬い表情のまま、
「……加持君、……もうこの際だから、思い切ってやるのはいいと思うんだけど、その前に一つ聞いておきたいの。……この一連の動き、渚君のこと、シクスのこと、それから、エヴァ解体の保留……。あなた、本当はなにか知ってるんじゃない?」
(ミサトさん……)
(ミサト……)
(…………)
シンジ、アスカ、レイの三人は、無言のまま、やや上目遣いにミサトを見た。一呼吸の後、加持がゆっくりと口を開き、
「……今更、この状態で、君たちに隠し事をするつもりは一切ないよ。まあ、前の事を思えば、葛城の疑問は当然だけどね。……前の時は、『人類補完計画』の真相をつかむことが出来ずに、結果的に、あんな事を許してしまったからな。俺の力不足だったんだ。
……あんな事、もう二度と許してはならないし、その意味でも、俺がつかんだ情報は、どんなに小さな事でも全てみんなに話してる。……信じてくれないかな……」
すかさずシンジが顔を上げた。
「僕は加持さんを信じます。だって、歴史が変わったことを知っているのは僕たちだけでしょ。あんなことはもう絶対にいやですから。そのために加持さんもいっしょけんめいになってくださっているんでしょ……」
アスカも、真剣な顔で、
「あたしもそう思うわ。ミサトの気持ちはわかるけど、いま、ほんとうに信じあえるのは、あたしたち五人しかいないじゃない……。だからさ、みんな、信じあいましょうよ」
レイも顔を上げて、
「……わたしも、そう思います……」
ミサトは、少し涙を浮かべ、
「……そうね。……ごめんなさいね。つまらないこと言っちゃって。……でも、昔のことを思い出すと、……ううっ、……気がめいっちゃって。……ぐすっ」
ミサトの様子に、加持は申し訳なさそうな顔で、
「この際だから言うが、前の俺の立場は、内務省調査部員であり、ネルフ特殊監査部員であり、おまけにゼーレの密偵だった。……しかし、悲しいかな、途中からは、ネルフとゼーレには睨まれていたしな……」
ようやく泣き止んだミサトは、顔を上げ、
「結局、『本業』は何だったの?」
「本業は『自営業』さ。……しかし、立場としては内務省調査部員としての要素が濃かった事には違いない。今は御役御免になって、完全にIBOの情報担当さ。……ま、おかげさんで、内務省との個人的なコネは残っているけどね……」
「じゃ、活動してたのはなんのため?」
「俺はへそまがりでね。……いくら進化に行き詰まった、って言われても、他人の手で『人工進化』させられるなんてまっぴらごめんだったのさ。だが、個人の力ではいかんともしがたい。それで、あちこちに潜り込んでは、その『力』を借用させてもらっていたんだ。
……結局、前の時は、俺の力不足だった、って事だがな……」
「……そうだったの……」
「ま、葛城には悪かった、と思ってる、今度こそ、その罪滅ぼしをちゃんとやるよ。……な、わかってくれ」
「うん、……わかったわ……。ごめんね、加持君……。疑ったりして……」
俯き気味に語るミサトに、加持は、相変わらず申し訳なさそうな視線を向けていた。
と、その時シンジが、
「加持さん、一つおしえてほしいんです。『シクスの配属が決まった』、って言う話ですけど、誰なんですか?」
「いや実は、それがな、具体的な人物の名前はまだ連絡が来てないんだ。『シクスの配属』だけが決まったんだよ。……これはあくまでも俺の想像なんだが、また誰か転校して来るんじゃないか、と思うんだ」
「新しい転校生……」
呟くように言ったシンジに、加持は、
「そうだ。あくまでも想像だけどな」
と、言った後、アスカとレイの方も見回し、
「まあ、そのあたり、君たちも気を付けておいてくれないかな」
と、言うのへ、三人は口を揃え、
「はい、わかりました」
「オッケー、わかったわ」
「はい、わかりました……」
しかし、「シクスの配属」が連想させる未知の不安に全員の思いが及び、思わず沈黙してしまった時、シンジが立ち上がり、
「そうだ。コーヒーお代わりどうですか?」
途端にアスカが顔をほころばせ、
「あらシンジ、気がきくわねえ。いれてよ♪」
ミサトも微笑んで、、
「いいわねえ。お代わりちょうだい♪」
と、言いながら、実にタイミングよく「ブレイク」を入れてくれたシンジに、心の中で手を合わせていた。
(シンちゃん、ありがとう……)
三人の心を察したのか、加持も努めて明るく、
「おおありがたい。俺も頼むぜ」
と言った時、レイが立ち上がり、
「あ、わたし手伝うわ……」
「あ、ありがと。綾波」
アスカも立ち上がって、
「じゃ、あたしもてつだうかな」
「ありがと、アスカ。じゃ、悪いけど、二人でコーヒーカップを用意してくれないかな」
「オッケーよ。じゃ、レイ、テーブルのカップさげてよ。あたし洗うから」
「うん」
そんな三人の様子を見ながら、ミサトは、
(三人ともなかよくなったわねえ。……前だったら考えられないことだわ……。もう絶対に前みたいなことは起こさせない。……絶対に……)
と、心の中で誓っていた。
その時、冷蔵庫が突然開き、ペンペンが、
「クゥゥゥッ!!」
シンジは苦笑して、
「あ、ペンペン。ごめんよ。いまごはんあげるからね」
すかさずミサトが立ち上がり、
「あ、シンちゃん。わたしがあげとくわ」
「そうですか。じゃ、おねがいします」
カップを洗っていたアスカが振り向き、ペンペンに笑いかけた。
「ちょっとまってね、ペンペン。いまミサトがごはん作ってくれるからねー♪」
「キュキュキュキュキュッ!!♪」
+ + + + +
コーヒーを前に、加持は、全員を見回した。
「じゃ、改めて始めるかな。
さっきも言ったように、『最終決戦』は、2015年の10月16日だった。そして、この日歴史が変わったんだ。
俺たちが帰って来たのは、『最終決戦』が終わった直後だ。そしてだな、ここが肝心なんだが、俺たちは、『最終決戦』の始まりは経験していない。つまり、歴史が変わった瞬間は知らないんだ」
ミサトは頷き、
「そう言われてみると、そうなのよねえ……」
「そこで、俺がこっそりマギのデータを抜いてまとめた資料がここにある。『新しい歴史の流れ』を確認しておこう。
あの日の朝、シンジ君は参号機や鈴原君との絡みで碇司令と対立、ネルフを去る予定だった。……シンジ君、これは前と同じだよな」
「はい、そうでした」
「そして、わたしが駅まで送って行ったのよ」
と、ミサト。
シンジは頷き、
「はい。……前の時は、電車を待っている時に使徒が来て、シェルターに行ったんです」
加持も軽く何度か頷いて、
「なるほど、ここだな、『ターニングポイント』は……。
新しい歴史では、その時、使徒が一度に4体襲来したんだ。そして同時に世界中で小型使徒が多数出現した、となっている。
そして、シンジ君は、『自分の意思のみ』で、戻って来て初号機に乗った、となっているんだ」
ミサトが唸りながら、
「完全に変わっているわねえ……」
「うむ。……そしてだな、やって来た使徒の内、大型使徒は3体だった。『前の歴史』でジオフロントに入った奴と、鳥みたいな奴、リング状の奴だ。
結果的に、今回はリング状の奴もジオフロント内に入って来て、零号機に倒された。……どうやって倒したと思う?」
と、言いつつ、自分の方を向いた加持に、レイは、恐る恐る、
「まさか……、逆に体内にとりこんだ、とか……」
「いや、まさにその通りなんだ」
「!!!……」
流石に驚いたレイに、加持は続けた。
「使徒が物理的に融合しようとしたので、零号機は、『ATフィールドを反転させて逆に使徒を取り込んだ』、となっているんだな。これが」
ミサトが、呟くように、
「『前の歴史』の時、初号機が、ジオフロント内に入った使徒の腕を引きちぎって取り込み、自分の左腕を再生したのと同じ……」
「そうなんだ。その後、零号機は『免疫機能』を使って、使徒の細胞を完全に破壊し、今度は逆にATフィールドを内部から外に向けて展開する事で、『異物を外へ排出した』んだ。それがジオフロント内に残っていた使徒の死体だ」
「自爆以外は『向こうの世界』と同じパターンねえ……。すると、初号機と弐号機もそうなの?」
「うむ。弐号機は、地上で戦ったんだが、精神攻撃を受けたアスカが開き直って『逆精神攻撃』を仕掛けた、となっている。素質レベルでは、エヴァは使徒と同じ力を持っているからな」
アスカも驚いて、
「あたし、そんなことしてたの……」
と、言うのへ、ミサトは、
「ま、エヴァは使徒と同類だもんね……」
加持は、更に、
「そうなんだ。その結果、使徒が苦し紛れに降下して来た。そう言う状態になっても、結局はジオフロントを目指して来たんだな。そして穴からジオフロントに侵入した使徒を弐号機が追撃する形になって、最終的に弐号機が使徒を倒した、と言う訳だ」
アスカは眼を丸くし、
「へえ……」
「初号機は、シンジ君の出撃が遅れたため、セントラルドグマに入って来た使徒と直接対決する事になった。これは『前の歴史』と同じだ。ただし、今回はあちこちに設置されているアンビリカルケーブルを上手に使ったため、エネルギーは切れずにすんだ。結果、初号機は暴走しなかったし、使徒も食わなかった」
「…………」
シンジは黙って加持の話を聞いていた。
「その混乱の中で、ダミーシステム生産工場は破壊され、碇司令は殉職した。
最後に残った『白い少年』は、極めて強力なATフィールドと『エネルギー光線』を駆使して、散々エヴァ3機を苦しめた。
結局、電源設備をことごとく破壊されて、零号機と弐号機は止まってしまったんだが、初号機が最後に残ったエネルギーで、なんとか倒したんだ。……ちなみに、世界中に現れた小型使徒は、その瞬間死に絶えた。それからこれは、前にも言ったように、極秘情報だが、ゼーレの連中は、その際の混乱で全員死んだんだ」
ミサトが、溜息を一つつき、
「そう言う流れだったのね……」
「その後、使徒の死体は処理され、エヴァ3体は動かなくなって格納庫に仕舞われたままになっている。
『白い少年』は、最初俺も、『最後の使徒たる渚カヲル』となにか関係があるのかと思ってたんだ。しかし、雰囲気こそ似ているものの、顔は違った。どう考えても関係があるとは思えなかった。
その後の調査で、あの少年は『根元かつ最後の使徒』であると断定されたが、上層部の連中は、向こうの世界の事は知らない。知っているのは俺達だけだ。
そこで、それを踏まえて考え直したら、案外話は簡単になる。つまり、この前の『最終決戦』の時に出て来た小型使徒も含めて、全ての使徒が、アダムから生まれたのだとしたら、あの少年は、ゼーレが持っていたアダムのサンプルが変化したものだと言う事になる。そしてそのきっかけを作ったのは、もちろん、向こうの世界から流れ込んで来た魔界のエネルギーだ」
その時ミサトが、
「ちょっと待ってよ。わたしが調べた限りでは、人間と使徒を生み出したのはリリスよ。そのあたりはどう考えるの」
「うむ、俺も最初は一瞬そう思ったんだが、考えてみたらなにも不思議じゃない。俺たちは、使徒が単体生物だと言う事に囚われ過ぎてるからそう思ってしまうけど、アダムとリリスをそのまま男と女に当てはめて考えりゃ、なにも矛盾は生じないだろ。
例えば、ゾウリムシなんかは、単体で分裂するが、他の単体と交配して遺伝子の交換をやる事もある。植物だってそうだ。
今回の小型使徒はあの少年、即ちアダムの分身だとしても、前に来た使徒や大型使徒は、アダムとリリスが共同で生み出したか、またはリリスから生まれたものだった、と言う事だ。つまり、同じ遺伝子構造だから、『根元』と解釈された訳だな」
「あ、そうよね。当然そうなるわね」
「だから、あの少年は、『渚カヲル』とは直接関係なくても、それ自体はなにも問題じゃない、と言う事が、これではっきりした訳だ。それから後の事は、みんなも知っている通りだ」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
黙って話を聞いている四人を改めて見回した後、加持は言った。
「さて、いよいよ、歴史が変わる前の話に移るが、ジオフロントに使徒が入って来た時の事は、みんな覚えているよな」
シンジ、アスカ、レイの三人は、流石に暗い顔になり、
「はい……」
「うん……」
「おぼえてます……」
「敢えて言うが、アスカはボロボロにやられた。レイも『特攻』までやったが、結果的に負けた。その後、シンジ君が初号機で出撃し、使徒を追い詰めたが、エネルギーが切れて止まってしまった」
「…………」
「…………」
「…………」
沈黙したままの三人に代わるかのように、ミサトが、
「そして、初号機が暴走して、『シンクロ率400%』なのよね……」
「…………」
何も言えないシンジをちらりと見た後、加持は、
「そうなんだ。……そしてだ、初号機は使徒を倒して食らい、S2機関を取り込んで『覚醒』した。
しかし、その後は、なぜかそのS2機関は停止し、従来の初号機のような状態に戻ったんだ」
ミサトは頷き、
「そうだったわね……」
「その後、『溶けたシンジ君』のサルベージ計画がスタートし、結果的に1月以上かかったが、11月15日頃だったと思う、……シンジ君は助かった」
「…………」
俯いたままのシンジを横目で見て、ミサトは、
「それから2週間ぐらい後だったわよね。加持君が冬月副司令の拉致に関係して、……殺されたのは……」
「…………」
「…………」
アスカとレイも、何も言えない。
「そうだ。ちょうど12月の頭ぐらいだった。……だから俺はそれから後の事は知らない。再び意識が戻ったのは、向こうの世界で実体化した時だ。しかも、その時得た記憶は、シンジ君たちが『暗黒の次元』で得た情報の内、その時に頭にあった分だけなんだ。それを分けてもらったんだよ。
……だから、俺が『死んだ』後の事は、葛城がまとめてくれ……」
その時、アスカが突然激しく頭を振り、
「加持さん! もうやめて! おもいだしたくない! こんないやなことききたくない! わあああっ! あたし、その時は、加持さんが死んだことを知らなかったのよ! だれもちゃんと言ってくれなかったのよ! あとになってシンジから聞いて、どんなにショックだったか! うわあああっ!」
泣きじゃくるアスカに、シンジは、真剣な声で、
「アスカ、しっかりするんだ。……僕だって、思い出したくないし、ミサトさんや綾波もそうだと思う。……でも、あんなこと、二度と起こしちゃいけないんだ。……だから、これはぜったいにやっておかなくちゃならないんだ……」
「シンジ……。ぐすっ、……うん、わかった……」
シンジに諭され、アスカは少し落ち着いた。
それを確認したミサトが、一呼吸置いた後、
「……じゃ、続けるわね。……それから2週間ぐらい後だったと思うわ。……アスカがスランプになって、おかしくなって行ったのは……」
「…………」
アスカは俯いたまま、暗い顔をしている。
また一呼吸置いて、レイがぽつりと、
「……そのころ、宇宙空間に使徒が現れたんですよね……」
ミサトは軽く頷き、
「そう。その使徒の精神攻撃で、アスカはすっかり参ってしまったのよ……」
「そして、わたしが『ロンギヌスの槍』を使って、使徒をたおした……」
ここに至って、アスカはまた肩を震わせ、
「……ううっ、ぐすっ……」
ミサトは、本当に申し訳ないと言った顔で、
「……アスカ、……今更言っても仕方ないと思うけど、あの時はほんとに悪かったわ。ごめんね。……加持君のことも、あなたにちゃんと言わなかったし、あなたがお風呂で荒れ狂ってた時も、わたし、ちゃんとフォローしてあげられなかった。……あなたが家出した時も、加持君が死んだことや、使徒のことだけに気を取られてて、あなたのことをちゃんと見てあげられなかった。……保護者失格よね。ほんとにごめんね……」
「ミサト……。ぐすっ……」
「…………」
「…………」
シンジとレイも、無言で俯いている。アスカは、涙声で、
「ううん、ぐすっ、……ミサト、そんな。……いまはみんなしあわせなんだから……、ううっ、あの時のことは、……もうなにも……」
ミサトは、少し救われたような表情になり、
「……アスカ……、ありがとう……。
さて、それから後のことよね。……こんどはレイか……」
レイは、顔を上げた。
「はい……」
「宇宙空間に現れた使徒を倒してから、1週間ぐらい後だったわよね。あのリング状のヤツが来たのは……」
「そうでしたね……」
「その時は初号機は凍結されたままで、零号機を出したのよ。アスカは完全にスランプになって、弐号機を起動出来なくなっていたのに、無理矢理出されたのよね……」
「…………」
アスカは黙って俯いている。そこにシンジが、
「……それから、使徒が零号機に融合して、初号機の凍結が解除されたんですよね……。でも、綾波は僕を助けようとしてくれて……、自爆を……」
「…………」
レイは黙ったまま、シンジをそっと見た。シンジは続けて、
「……それから後、綾波は知らないと思うけど、……『綾波が助かった』、って聞いて、僕が病院にかけつけたら、……『わたしは、たぶん、三人目だと思うから……』、って……」
少し驚いた顔で、レイは、
「……それは、初めて知ったわ……。そのときわたしは、もう『暗黒の次元』にいたから……」
ミサトがそれを受け、
「……それから、リツコに案内されて、セントラルドグマにある『ダミープラグ生産工場』に行ったのよね……。そこで、『レイのパーツたるクローン』を見たのよ……」
その時シンジが、
「……そう言えば、綾波、『暗黒の次元』で、神様が言ってた話だけど、……綾波はダミーシステムの研究に関係してたんだよね……」
「うん、……わたしもなにされてたのかよくわからないのよ。……LCLの入ったチューブの中で、いろいろなことを頭に思い浮かべさせられた、ぐらいのことしかおぼえてないわ……」
加持は頷き、
「なるほど、……そうやって『思考』を取り込んでデジタル化したのか。……後は、『レイのパーツ』をプラグに入れて、あたかも、『そこに生身の子供がいる』、とエヴァに思わせた訳だな……。それがダミープラグの正体か……」
急にシンジが振り向き、
「加持さん、『最終決戦』の後で、『地下のダミーシステム生産工場は全て破壊されていた』って、おっしゃったでしょ。全くなにも残っていなかったんですか」
加持は、驚いた顔で、
「えっ? ……そう言われると……。俺も迂闊だったな……。
……そう言えば、使徒が侵入してあのあたりは完全に破壊されたんだが、残骸の中に、『人間の死体と思しきものがあった』と言うような話は一切聞いてないぞ」
ミサトも、不思議そうに、
「そう言えば、地下のリリスも消えていたんでしょ。どこへ行ったのかしら……」
「葛城、そう言や俺達、最初にあの『リリス』を見た時は、『アダム』だと思ってたよな。なんで、いつの間に、あれが『リリス』、だってわかったんだろう」
「碇司令のメモリカードに書いてあったからじゃないの?」
「いや、そうじゃない。確かにメモリカードには書いてあったが、それを読んだ時、俺は不自然に思わなかった。10月16日にみんなで集まった時もだな、俺が、『地下のアダム』を『リリス』と言い直しても、誰も不自然に思わなかったろ」
その時、シンジがやや首を傾げ、
「あ、そう言えば、『補完計画』が発動された時、『補完世界』の中で、そんなことを知ったような気が……」
それを聞いた加持は刮目し、
「なに? ……だとしたら、向こうの世界で実体化した時、俺と葛城がシンジ君たちからもらった情報の中にそれが含まれていた、と言う事なのか?」
しかし、シンジは、
「でも、あの時は、僕はそんなこと意識してなかったですよ……」
アスカも同じく、
「わたしも意識してなかったわ……。ただ、なんとなく、『リリス』という言葉は知っていたような気がするけど……」
レイも、
「わたしは、『暗黒の次元』にいたとき、『三人目のわたし』が、巨大化したのは見ました。そのときはわからなかったんですが、あとになって、『あれがリリスだ』って知ったような気が……」
ミサトがレイの言葉に眉を顰め、
「『三人目のレイ』が巨大化? それ、どう言うこと?」
と、言った時、すかさず加持が、
「待て待て。話を元に戻そう。……『補完計画』の話は後だ。とにかく、歴史の流れを追うと、『レイが死んだ』のは12月1日から約3週間後だよな。誰か正確な日付を覚えているか?」
シンジ、ミサト、アスカ、レイは、口を揃え、
「おぼえてないです……」
「わたしも覚えてないわ……」
「あたしもおぼえてないわ……」
「意識していなかったから……」
加持は、少し顔をしかめ、
「誰も覚えてないか……。カレンダーで見ると、大体、12月22日あたりだな。一応22日とすると、その日にレイが『三人目』に変わったんだよな……」
レイは、軽く頷き、
「そうなりますね……」
「葛城、シンジ君、『三人目のレイ』に、なにか変わった事は感じなかったか?」
シンジとミサトは、
「その時は特になにも……」
「わたしも特に意識しなかったわねえ……」
一瞬置いて、シンジはアスカの方を向き、
「その直後だったよね。……アスカが行方不明になったのは……」
「うん。……でも、あたし、……その時のことはあまりおぼえてないわ……」
ミサトも暗い声で、
「そして、1週間ぐらいしてから発見されて、あとはずっと入院してたのよ……」
それを聞いた加持は、
「そのあたりの正確な日付は?」
ミサトとシンジは、またもや、
「覚えてないわ……」
「僕も覚えてないです……」
「じゃ、一応、12月29日としておくか」
その時、ミサトが顔を上げ、
「あ、思い出したわ。アスカが発見されたその日、フィフスとして渚カヲルが配属されたのよ」
と、言った。それを聞き、シンジも、
「そうでしたね。……思い出しました」
とは言ったものの、心中、穏やかではなかった。
(あの時……、僕は……、なんて勝手なやつだったんだ……。アスカがあんなに苦しんでたのに……)
徐々に記憶を取り戻して来たミサトは、軽く頷きながら続けた。
「その後、彼が使徒だ、ってわかって、初号機に倒されて……。そうだわ! その日は大晦日だったわ!」
しかし、シンジは無言で俯いたままだった。
(僕は……、僕は……、なんて、なんてだめな……)
「そして、2016年の1月早々に、戦自の攻撃が開始されたのよ……」
と、ミサトが言った時、とうとうシンジは我慢出来なくなり、
「アスカ、ごめんね。……僕もあのころ、アスカのことを思いやる心なんかまったくなかったんだ。アスカがあんなにつらい思いをしてたのに、自分のことだけしか考えてなかったんだ。アスカが入院してた時もそうだったんだ………。
……綾波に対してもそうだった。自爆までして助けてくれたのに、『三人目の綾波』に代わって、綾波がクローンだった、って知ったとたんに、綾波を変な目で見てしまってたんだ。いのちがけで僕を助けてくれたのに。その、助けてくれた、今ここにいる綾波さえも、そんな目で見てたんだ。……綾波、ほんとにごめんね……」
それを聞いたアスカ、レイ、ミサトは、
「シンジ……。ぐすっ。……もう言わないで。……すんだことだから……」
「シンちゃん。……そんな。……気にしないで……。ぐすっ」
「……ぐすっ」
加持も暗い気持ちだったが、大きく呼吸をした後、思い切って言った。
「……さて、いよいよ『補完計画』か……。一番嫌な話だな。……葛城、……頼むぜ……」
「ええ……。渚カヲルを倒した後、年明け早々に戦自が攻めて来たのよ。一応、タテマエはネルフを無力化して、人類補完計画、つまり、サード・インパクトを防止するつもりだったんでしょうけどね……。その実は、全てゼーレに牛耳られてた、ってことなのよね」
「つまり、碇司令が進めていた『補完計画』と、ゼーレの『補完計画』の間には、どうにも埋め難い溝が出来てしまっていた、と言う事だ」
「そう言うことになるわね……」
「戦自が攻めて来たのは、言うまでもないが、『人類補完計画の真相は、サード・インパクトであり、ネルフが進めている』、と、ゼーレが日本政府に『御注進』したからだな」
「そうね。間違いないわ」
「ゼーレとしては、最終段階まで碇司令を泳がせておいて、最後の最後で『逆転』を狙った、と言う事か……」
「ところが、碇司令に、のらりくらりとすり抜けられてしまい、おまけに弐号機まで動き出したからね。それで、量産型エヴァシリーズを9機投入した、と言うことよ。……その後、初号機を出そうとして、シンちゃんを初号機ケイジに連れて行ったんだけどね。……わたしはそこでおしまい。後はシンちゃんの担当ね……」
シンジはたまらず、泣き出してしまった。
「ミサトさん、……ごめんなさい。……あの時、僕は、最低で、情けなくて、卑怯で、どうしようもない奴でした。
……あの時、僕がもっとしっかりしてたら、ミサトさんも死なずにすんだし、アスカもあんなことには……、ううっ。ぐすっ。……ミサトさん、ごめんなさい。……アスカ、ほんとにごめん……。ぐすっ」
アスカは涙を浮かべながら、軽く首を振った。
「シンジ……。ううん……。ぐすっ……」
レイも、涙を浮かべたまま、
「シンちゃん……。ぐすっ」
その時、加持がゆっくりと、
「なあ、シンジ君。それはもういい。……結果的に現在こうなっている事が全てさ。同じ過ちを繰り返さないように、そのための記憶整理なんだ。だからな、元気を出してくれ」
ミサトも、頷きながら、
「そうね……。シンちゃん、あなた、『向こうの世界』では、あんなに立派にがんばったじゃない。この世界が復活出来たのは、あなたががんばったからでもあるのよ。その気持ちを思い出して、元気出して……。ね……」
「うううっ。……はい。……みんな、ありがとう。……ぐすっ」
と、言って、顔を上げたシンジに、加持は、
「じゃ、気の毒だけど、これから先はシンジ君の担当だな。話してくれるか……」
「はい……。あの時僕は、ほんとにもう、全部、どうでもよくなってたんです。ただ、死にたい、って、……思ってたんです……。
ミサトさんに連れられて、初号機ケイジに行った時も、もう、なにも考えられなかったんです。……ただ、うずくまるしかなかったんです。
ミサトさんが殺されても、アスカが殺されても、……僕はなにもできなかった。初号機はベークライトで固められてて、乗ることもできなかったんですけど、僕も、なんとかしようともしなかったんです……。
ところが、初号機がいきなり暴走して、……まるで、母さんに呼ばれたような気がして……。初号機に乗ったんです」
その時アスカが、
「ちょっとまって、シンジ、あんた、エヴァにお母さんを感じたの? あたしも弐号機にママを感じたわよ」
「うん。……そう言えば、『向こうの世界』で初号機に乗った時も、最後に、母さんが『初号機に重なった』って言ってたな……」
「あのときのことね。……あ、そう言えば、加持さん、前にそんなこと言ってたわね。シンジのお母さんの魂が初号機に残ってる、みたいなことが碇司令のメモリカードに書いてあった、って」
加持は、少し首を捻った。
「確かにそう書いてあったが、あれは実験中の事故の結果だったと思うし、その時の碇司令の精神状態を考えると、割り引いて見ないとだめなんじゃないかな。……あの時は意識してなかったが、改めて考えるとなあ……。
ユイさんの場合、その後サルベージをしようとして失敗した訳だから、意図的に宿らせてある訳じゃなかっただろうし、もっと言えば、初号機の場合、事故の結果残ったのだとしても、弐号機の場合はどうなんだ? アスカには気の毒だが、敢えて言うとだな、確か、アスカのお母さんは自殺したんじゃなかったのか? どうやったら自殺した人間の魂をエヴァに移植出来るんだ? それに、初号機にしても、弐号機にしても、シンジ君やアスカのお母さんとしての意識を持っていたなんて、到底考えられないぜ」
アスカは頷き、
「たしかにそうよねえ。ママは自殺したんだ……」
ミサトも、疑問顔で、
「エヴァには人の魂が宿らせてある、って、リツコが言ってたけど、お母さんの魂……、どうもよくわからないわねえ……。
でも、『向こうの世界』では、このエヴァには人間の魂は宿らせてない、って、松下さんが言ってたわよ。……まあ、向こうとこっちでは、状況が違うでしょうけどねえ」
これに関しては、シンジも、
「向こうの世界で母さんが現れたのは、こっちとは直接関係ないのかなあ……」
ミサトは更に、
「それに、魂が宿らせられていたのだとしたら、零号機は一体誰の魂を使ったのかしら……」
レイも、不思議そうに、
「わたしはとくになにも感じなかったけど……」
アスカも、
「そうよねえ。……レイの場合、お母さんの魂、ってわけにもいかないでしょうしねえ……。それに、参号機だってそうよ。今、ミサトが言った、『人の魂を宿らせてある』って言う、リツコの話はどうもうさんくさいわね」
その時加持が、全員を軽く制し、言った。
「まあ待て。その件は後にしよう。……シンジ君、初号機に乗った後、どうなったんだ?」
「はい……。弐号機が、量産型エヴァシリーズにボロボロにされたのを見ました……。アスカが……、僕がだらしなかったから……、アスカが……」
ここに来て、意外にもアスカは苦笑し、
「……まあ、いまとなって考えてみたら、しかたないわよね。相手が悪すぎたわよ……」
シンジは続けた。
「それから後、……僕はエヴァシリーズに捕まって、空へ連れて行かれました。……その後、ジオフロントが大爆発を起こして、まわりは全部吹き飛ばされて、ジオフロントに、……大きな黒い球体が……」
加持が、眉を顰め、
「大きな黒い球体?」
「はい。……そして、巨大化した綾波と、それに合体したカヲル君が、初号機を抱き込んで、……もう後はなにがなんだか、僕にもわかりませんでした。
……気がついたら、みんな溶けて、一つになっていたように思います……」
「レイ、そのあたりはどうだった。『暗黒の次元』から見えたか?」
「はい。わたしも、別のわたしが巨大化して、黒い球体を手でつつみこんだのは見ました。……それから後、世界が真っ暗になったみたいな感じがして……、それ以上はわかりませんでしたけど、世界が滅びた、って感じたんです……」
「うーむ、今更言っても仕方ないが、もし『向こうの世界』で、あの時メモリカードに入っていた『アニメ番組』の筋を聞いてたらなあ……。なにか参考になったかも知れないんだが……」
と、加持が唸った時、突然レイが、
「あっ! 思い出したわ! わたしがなぜ『リリス』のことを知っていたかを!」
ミサトは驚き、
「レイ、どう言うこと?!」
「わたし、『暗黒の次元』で、サトシくんから、そのアニメの内容をある程度聞いてたんです! その時サトシくんが、巨大化した別のわたしのことを、『リリス』って言ってたんです!」
加持は、何度も頷き、
「なるほど、そうか! 他になにか思い出せないか?!」
「そうだわ! 『地下のリリス』と『三人目のわたし』が、合体して巨大化した、って、聞いたんだわ! それでわたし、別のわたしが巨大化した理由については理解できたんです。ただ、そのときは、それ以上深く考える余裕はなかったんですけど……」
しかし、ミサトは、
「ちょっと待って。と、言うことは、『三人目のレイ』は、リリスと合体出来るような能力を持っていた、って言うことなの?」
シンジは、思わず唸り、
「まるで使徒だ……。あ、ごめん、綾波……」
レイは苦笑して首を振り、
「ううん。それはわたしじゃないもの。……でも、『三人目のわたし』は、なんでそんなことができたのかしら……」
ミサトは、
「『三人目のレイ』と、『リリス』が合体して、『サード・インパクト』を……。なんか、使徒の渚カヲルがリリスと合体しようとしたみたいな話ねえ……」
と、唸った後、突然、
「あっ! そう言えば!」
と、叫んだ。加持は思わず身を乗り出し、
「どうした!?」
「確か、使徒のカヲルがターミナルドグマに侵入した時、別の使徒の反応が出たことがあったのよ! あれはなにか関係してないかしら!」
「じゃ、その時、使徒だ、って思ったのは、三人目のレイだ、って言うのか? ……あっ! もしかして!」
加持の叫びにミサトも身を乗り出した。
「なに?!」
「アダムのサンプル! ……そうだったのか!」
「どう言うことよ!?」
「俺がドイツからこっちへ来た時、ドイツ支部が持っていたアダムのサンプルを一つ碇司令に横流ししたんだ。地下にアダムがあるはずなのに、なんでそんなものがいるのか、って、その時は思ったんだが、そう考えると辻褄が合う。
つまりだ、地下のアダムは実はリリスで、三人目のレイも、使徒の渚カヲルも、アダムの遺伝子を後から組み込まれたクローンだった、って事だったんだ!」
ミサトは思わず机を叩き、
「あっ! なるほどね!」
加持は続けた。
「レイ、俺が日本へ来てから、なにか変な手術をされた事はないか? 多分ないはずだが」
レイは、きっぱりと、
「はい、ありませんでした。ダミーシステムの実験はさせられましたけど」
加持は、大きく頷いた。
「やはりな。それではっきりした。つまりだ、俺が持ち込んだアダムのサンプルを使って、碇司令は、別のレイを使徒に作り変えたんだ」
それを聞いたシンジとアスカは、
「なるほど……」
「なるほどねえ……」
レイも、驚き顔で、
「別のわたしを使徒に……」
「ここにいるレイが手術をされなかったのも当然だ。下手をして殺してしまったら元も子もないからな。しかし、ダミー用の『レイのパーツ』だったら気軽に実験出来た訳だよ」
その時、ミサトは加持の方を向き、
「でも、加持君、今思ったんだけど、使徒の渚カヲルに関しては、アダムの遺伝子でわかるけど、なんで三人目のレイに、リリスじゃなくてアダムの遺伝子を組み込んだのかしら?」
「その理由は簡単だよ。アダムとリリスを融合させるためだ。無論、三人目のレイに、リリスの遺伝子を組み込んでおいて、アダムのサンプルと融合させてもいいだろうが、どうせ地下にはリリスがある訳だから、生きたアダムの分身を作る方が、効率がいいんじゃないのか?」
その時レイが突然、
「あっ!! また思い出したわ!!」
加持は、またもや身を乗り出し、
「なにを思い出した!?」
「『暗黒の次元』で、三人目のわたしが巨大化するのを見た時のことなんですけど、そう言えば、碇司令が三人目のわたしのおなかに手を入れて……」
「なにっ!!??」
「ええっ!!??」
「ええっ!!??」
「ええっ!!??」
「ええっ!!??」
流石に他の四人は仰天したが、レイは努めて冷静に続けた。
「その時、碇司令の手がちぎれたんです。なんだか、三人目のわたしに拒否されたみたいな感じが……」
「なんだと!?」
加持も顔色を変えている。
「その後、三人目のわたしが、リリスと一体になって、巨大化したんだったわ。……そう、たしか、そうです!」
「うーむ、ちょっと待てよ……」
加持は一瞬考え込んだ後、言葉を慎重に選び、やや眉を顰めて、
「レイ、腹に手を入れた、って、どう言う事だ? ……敢えて聞くが、まさか、下腹部に、下の方から……」
そこまで聞いた時、レイは慌てて、
「いえ、ちがいます。おへそのところに、まるで埋まるように、手が入って行ったんです」
「なに? ……うーん、どう言う事だ……」
全員、訳が判らずに考え込んでいたが、ややあって、シンジが少し震えた声で、
「……加持さん……」
「ん? どうした?」
「あの、まさか、とは、思うんですけど、……向こうの世界で、父さんが、使徒と一体化して、現れましたよね……」
「ああ、そうだったな。しかし、それがどうか……、なにっ!? シンジ君! まさか!?」
「その、まさか、です。……もしかして、父さん、三人目の綾波だけじゃなくて、自分にも……」
「…………」
「…………」
「…………」
シンジの言葉で、或いは、との気もなきにしもあらずではあった、ミサト、アスカ、レイの三人は、流石に何も言えなかった。
ややあって、加持が、
「……考えられる話だ。もし、そうだとしたら、レイの話は辻褄が合う。……自分の体にもアダムの遺伝子をなんらかの方法で組み込んだから、簡単にアダムの分身たる三人目のレイの腹に手を入れる事が出来た、と。……そのまま、自分も一緒に、リリスと一体化しようとしたが、結果的に、三人目のレイに裏切られて、思った通りには行かなかった、と言う事か……」
シンジは震える声で続けた。
「……その後、補完計画が発動した時に、父さんは、初号機に取り込まれたんです。……向こうの世界に現れた時、たしかそんなこと言ってたでしょ……」
「なるほどな。その意味では、碇司令の望みは、一部は叶えられた、って事にもなる訳か……」
と、言った後、加持は一呼吸置き、
「まあ、いずれにせよだ、話を戻すと、俺たちのこの推定は、もし外れていたとしても、『当たらずとも遠からじ』だろう。使徒・渚カヲルと同じように、三人目のレイも、碇司令によって、そう言う方向で『改造』されてたんだろうな」
ミサトは、軽く首を傾げて、
「そのあたり、リツコは知っていたのかしら」
「いや、恐らくは一番肝心な部分については、碇司令しか知らなかったんじゃないか。リッちゃんもある程度は知っていただろうけどな」
続く
この物語はフィクションであり、登場する人物、団体は全て架空の物です。
BGM:'アヴェ・マリア(カッチーニ) オルゴールバージョン 'mixed by VIA MEDIA
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