第二部・夏のペンタグラム
「ある世界」の西暦2000年。
「セカンド・インパクト」と呼ばれる大災害で人類の半数が失われた。
そしてその15年後の西暦2015年。
「使徒」と呼ばれる謎の巨大生物が襲来した。
それに対抗すべく、人類は「汎用決戦兵器・人造人間エヴァンゲリオン」を実用化し、使徒と泥沼の戦いを繰り広げた。
エヴァンゲリオンに搭乗出来るパイロットは14歳から15歳ぐらいの少年少女のみ。
父、碇ゲンドウに突然エヴァンゲリオンへの搭乗を命じられた碇シンジは、訳が判らないままエヴァンゲリオン初号機を駆って使徒と戦う。そしてその後、弐号機パイロットの惣流アスカ・ラングレー、零号機パイロットの綾波レイと共に使徒との戦いを続ける。
そして全ての使徒は滅びた。
その後、西暦2016年某月某日。碇ゲンドウと、「ネルフと国連を操る謎の結社『ゼーレ』」は、自らが造り出したエヴァンゲリオンを使い、「人類補完計画」なる「謎の計画」を遂行する。
「人類補完計画」とは、「不完全な群体生物たる人類を人工的に進化させ、完全なる単体生物へと変化させる」と言うものであり、実は、「全ての人類を破滅させる計画=サード・インパクト」であったのだ。
かくして、「その世界」の「人類」は滅亡した。碇シンジと、惣流アスカ・ラングレーの二人だけを残して……。
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序章
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ここは「別の世界」。
「この世界」の西暦1999年8月15日。「マハカーラ」と呼ばれる大災害が発生し、人類の三分の一が失われた。
実は、「マハカーラ」とは、「魔界と現実界を融合し、全ての生物の魂を同一化する」と言う目的で、ある人物によって行われた「儀式」がきっかけとなり、「セカンド・インパクト」との「縁を呼ぶ」事によって引き起こされたものだった。
その12年後の西暦2011年8月15日。突如「魔界」から襲来し、実体化した怪物「マーラ」によって攻撃を受けた人類は、「人型ロボット・オクタヘドロン」を駆使し、マーラと戦う。
オクタヘドロンを操縦出来るのは、「魔法使いとしての素質を見込まれた、8月15日生まれでカタカナの名を持つ14歳から16歳の少年少女達」。
彼等も、「何時果てるとも知れない泥沼の戦い」に巻き込まれて行った。
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使徒との戦いで自爆して死亡したエヴァンゲリオン零号機パイロット、「二人目の綾波レイ」は、奇跡か神の意思か、「魂」を「暗黒の次元」に吹き飛ばされ、そこで孤独の時間を過ごしていた。
碇シンジと惣流アスカ・ラングレーは、これも偶然か神の意思なのか、人類が滅亡した後の世界に二人取り残され、死を待つのみであった。
そこに突如「青い光」が輝き、二人もそれぞれ「暗黒の次元」に飛ばされてしまう。
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オクタヘドロン・ガルーダのパイロット、沢田サトシは、同じくオクタヘドロン・ディーヴァのパイロットの北原リョウコや、オクタヘドロン・ガンダルヴァのパイロットの形代アキコ、そして他の三人の仲間と共に、マーラと戦うための「魔法の訓練」を受けていた。
サトシ、リョウコ、アキコの三人は、「魔法使い」として「意識」が「拡大」するに連れ、「暗黒の次元」を垣間見て、それぞれ、レイ、シンジ、アスカの三人と「心の交流」を持つに至る。
そして、遂に六人は「暗黒の次元」で一堂に会し、そこで「原初の光」たる「開放系の神」から彼等自身の「宿命」を告げられる。
実は、「サトシ達の世界」と「シンジ達の世界」は、「次元を異にしながら重なり合って存在する双子の世界」であり、「サトシとシンジ」、「リョウコとレイ」、「アキコとアスカ」は、「同じカルマから生まれた異次元の双子」なのであった。
シンジ、アスカ、レイの三人は、彼等自身の意思で、サトシ達の世界へ行って共に戦う事を決意し、「開放系の神」にそれを告げた。そして、「開放系の神」は、彼等三人の他に、葛城ミサトと加持リョウジの二人も「事件解決」の鍵を握る人物である事を告げる。ミサトと加持は、「サード・インパクト」の前に死亡し、そのカルマが「暗黒の次元」に記録されていたのである。
「開放系の神」により「サトシ達の世界」に送り込まれて実体化した「シンジ、アスカ、レイ、ミサト、加持」の五人は、そこで信じ難いものを眼にする。何と、かつて彼等が戦った「使徒」が、「魔界のエネルギー」を得て実体化し、その世界を滅亡させようとしていたのだ。
更に驚いた事には、「碇ゲンドウの魂」までが、「異次元への穴」を通ってその世界にやって来て、使徒と一体化していたのである。
それに対抗すべく、「サトシ達の世界」では、「スーパーコンピュータ・オモイカネ」が、「魔界と現実界の融合」と言う現象を逆手に取り、エヴァンゲリオン3機を実体化させた。
シンジ達はそのエヴァンゲリオンに搭乗し、8機のオクタヘドロンと共に、使徒と戦ってその全てを殲滅する。
しかし、好事魔多し、全ての使徒を殲滅したと思う間もなく、魔界の力を得て実体化した「最後のシ者」、渚カヲルが、「最後のマーラ」として彼等の前に立ち塞がった。
シンジ達とサトシ達は協力し、カヲルを倒す。そしてその瞬間、「眼も眩む程の青い光」が世界を包み、シンジ達五人は突然「元の世界の第3新東京市」へ帰還する。
驚いた事に、帰還した世界では、彼等の帰還する直前に「根源かつ最後の使徒たる『天使のような白い少年』」が他の使徒3体を引き連れて出現し、「最終決戦」を挑んで来ていた。その上、世界中で小型使徒が多数出現し、大混乱であったと言うのだ。
しかも、エヴァンゲリオン3機をフル回転させて巨大使徒を倒し、最後に「白い少年」を初号機が倒した瞬間、世界中の小型使徒は全て消滅した、と言うのである。
ネルフ本部の地下にあったダミーシステム生産工場は痕跡も残さず破壊され、リリスもロンギヌスの槍を残して消滅していた。
歴史が変わったのだ。
その「世界的混乱」の中、碇ゲンドウは殉職し、ゼーレのメンバーも全て死んだ。
その後、「碇ゲンドウ独自の『人類補完計画』」に深く荷担していた冬月コウゾウと赤木リツコは、「おとなしくするのならば、目こぼししてやる」と言う加持の「情け」を受け、おとなしく「出家」し、「隠棲」する事となった。
かくして、「サード・インパクト」は阻止され、「事件」は解決した。
特務機関ネルフは組織解体され、その研究は「国際生体工学研究機関(IBO)」に引き継がれた。シンジ達は、引き続きIBOで生体工学の研究の手伝いをする事になった。
この「事件」の解決のために活躍した事を通じて、シンジとアスカは心を開き合い、今までの自分もそれぞれ反省し、「事件」が解決して平和が戻った事もあり、やっと相手と自分の本心に気付き、愛し合うようになった。
レイも、この経験を通じて「自分の心」を育て、「普通の女の子」に近付いた。
こうしてシンジ、アスカ、レイの三人は「普通の中学生」に戻った。再開された学校での級友との再会。そして大怪我をした鈴原トウジも、移植手術を受けて帰って来た。
トウジはおかしな本を持って来ていた。タイトルは「原初の光」。その本を開いたシンジは驚愕する。何と、「西暦1999年。『マハカーラ』と呼ばれた大災害を原因として起こった『魔界と現実界の融合』によって『実体化した魔物』と戦う少年少女達の物語」が書かれていたのだ。
驚いたシンジはその本をアスカとレイに見せる。二人も驚きの余り言葉を失う。
そこへ老教師に連れられてやって来た転校生を見た三人は凍り付いてしまった。
現れた転校生は「渚カヲル」だった…………。
この物語はフィクションであり、登場する人物、団体は全て架空の物です。
BGM:'A Pain On My Heart' composed by Aoi Ryu (tetsu25@indigo.plala.or.jp)
夏のペンタグラム 第一話・疑心暗鬼
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