第一部・原初の光




 本部長室に入って来た秘書の細川治美が伊集院に書類を提出し、

「本部長。総務省を通じて外務省から連絡が入りました」

「何だね?」

と、書類を見た伊集院は、顔色を変え、

「何だこれは!!! 中国と韓国からの抗議だと??!!」

「はい。昨日の戦闘で、自衛隊のヘリが対マーラ戦闘においてかなりの戦果を上げた事に関して、『先般の要請にも関わらず、ジェネシスが自衛隊に反重力システムに関する情報を提供したのではないか』、と言う内容です」

「その件はこの前の話では『総務省預かり』になっていた筈だろう。総務省はどう言っているんだ」

「あくまでもこちらに対する話としてですが、『まだ調整中であり、ジェネシスからの情報は提供していない。しかし、今回の自衛隊機の戦闘を見ると、確かに反重力システムが稼動しているのは間違いない。自衛隊が独自に開発したのか、ジェネシスから情報が漏れたのか、どちらかだろう。外務省に対する正式回答は詳細な調査の後にする』、と言っています。」

「冗談じゃないぞ。米軍は反重力システムを既に実用化しているし、中国や韓国も研究している筈だ。自衛隊だって独自に研究している。『どうにもならないほどの機密』ではあるまい。しかも、ウチは自衛隊に情報なんか流していない。これは総務省にすぐ連絡する必要があるな。……よし、判った。後は私が処理する。御苦労だった」

「では、失礼致します」

と、治美が本部長室を出て行った後、

「こんな時に……、相変わらず人間同士で足の引っ張り合いか……」

 伊集院は苦り切った顔で電話機に手を伸ばした。

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第二十四話・潜行

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「いやしかし、今回は溜飲を下げたな。川島君、本当に御苦労だった」

 自衛隊統幕本部司令室では、幹部の小野寺幸男と自衛隊総合研究所主任研究員の川島慶太郎が談笑していた。

「いえ。とんでもありません。たまたま上手く行っただけです。今後も更なる改良を進めます」

「何を言うか。わははは。こんなに早く反重力エンジンが完成しただけでなく、新型ミサイルまで実用化できたじゃないか。君の功績は二階級特進ものだよ。……しかし、どうやって完成にこぎつけたのかね。アメリカでは既に実用化段階だったが、中国と韓国の横槍で、ジェネシスからの情報は『総務省預かり』だった筈だが」

「まあ、それは色々とありますが、そのあたりを私がここで申し上げますと、お聞きになられた時点で私と『同罪』と言う事になってしまいます。情報源に関しては、あくまでも私が『私的な立場でヒントを得た』と言うに止めておいた方が宜しいかと。……但し、これだけは申し上げておきますが、決して非合法な手段ではありませんので、その点は御安心を」

「成程。わははは。君もなかなかやるのう。まあよかろう。技術的な事に関しては君に一任してあるのだからここでこまこました事は言うまい。……ところで、新型ミサイルの原理は一体何なのかね。あれほど強固なマーラのバリヤーを破り、かつ、倒せるとなると、私には想像もつかないのだが」

「種明かしをすると、『開いた口が塞がらない』、と言う事になりかねませんが、実に簡単な事なのです。マーラは結局『魔物』です。ならば、日本には有効な『魔除け』が沢山あるではないですか」

「なに? 『魔除け』だと?」

「そうです。日本には日本の風土に根差した『オカルト』があります。それを無視する手はありません。あのミサイルは、爆薬を抜いた空のミサイルに『魔除け』を施した、言わば『破魔矢』なのです」

「『破魔矢』!? そんなものが役に立つのか?!」

「はい。しかし、そのためにはミサイルに魔除けの効力を与えるための『儀式』を行う必要があります。そして、それを実行出来る『人間』が必要です。要するに、『魔除けの儀式を実行出来る人間』を育てる必要があるのです」

「しかし、そんな人間が一月やそこらで養成出来たのか?」

「流石にそれは無理でした。ですから、それが出来る人間を探し出して『儀式』を行わせたのです。結果、一応の成果が得られた、と言う事です。しかし、もっと効果を高めるための『更なる修行』は当然必要です」

「ふーむ。成程なあ。まあよかろう。何よりも結果が全てだ。これでジェネシスに頼り切らずとも、我々も独自に戦略を立てられる。まあ、これからも頑張ってくれたまえ」

「はい。有り難う御座います。……ところで、この『破魔矢』に関する情報ですが、今回米軍基地にマーラが出現した事を考えますと、当然アメリカが情報の提供を要求してくると考えますが、その点、如何なさいますか」

「無論、提供してやろう。こんなものは別に秘密と言う程のものではないからな。積極的に提供してやれば、アメリカの気を鎮めるのにも役立つだろうしな」

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「……そうです。こちらからは情報を流した形跡はありません。そちらに提出したものが全てです」

 伊集院は総務省の高官の高沢茂と電話で激しくやり合っていた。

『しかし、外務省は苦り切っているぞ。いつもならアメリカに頼んで中国や韓国を抑えてもらうところだが、今回は米軍基地にマーラが出た事で、アメリカも相当頭に来ている。既にアメリカの一部マスコミには、「米軍基地にマーラが出たのは日本政府の策略ではないか」などと言う実にけしからん記事が出始めているんだ。これは下手をすると国際問題になりかねん』

「冗談ではありません。米軍基地にマーラが出現したのは実に不幸な事でしたが、どうしてそれが『日本政府の陰謀』などと言う馬鹿げた話になるんですか。まさかアメリカ大統領がそんな馬鹿な事を言う訳がないでしょう」

『それは無論だ。さっき総理に確認したが、アメリカ大統領と直接電話で話をされたようだ。大統領は極めて良識のある人だから、「これは日本の責任ではない。日本がよくやってくれている事は充分判っている。アメリカ国内の事は責任を持って処理する」と仰っていたと言う話だ。しかし、幾ら大統領が頑張ってくれても、一旦無責任な世論が広まってしまえば厄介な事になる。総理はそれを心配しておられた』

「どちらにせよ、『ジェネシスとしては一切情報は流していない』、と言う事を、私の責任で申し上げておきます。外務省にはそうお伝え下さい」

『判った。君を信じよう。しかし、もし何かおかしな事があったらすぐに連絡してくれたまえ。……ああそれから、今回の米軍基地の事だがな。米軍関係の死者は1000人を超えたそうだ。一刻も早く事件を解決しないと、えらい事になるぞ。……では宜しく頼む』

「了解致しました」

 伊集院は苦り切った表情のまま電話を切ったが、

(反重力システムの情報に関して技術的に詳しい者と言えば、山上君と松下先生だけだ……。しかし、あの二人が情報を流すとはとても考えられない……。情報部でも技術情報に関しては私の許可がなければ知る事は出来ない筈だ……。自衛隊が独自に開発したとしか思えないのだが……)

 心に浮かぶ疑問はどうにも拭い切れなかった。

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 サトシ達一行を乗せた飛行機は京都のジェネシス本部に到着した。

「やっと京都に帰ってきたわね。みんなお疲れさま。帰ってゆっくり休んでちょうだい。……サトシ君もアキコちゃんも、任務のことも訓練のことも考えずに、無理しないでゆっくり休養するのよ。わかったわね」

と、由美子が言うのへ、サトシとアキコは神妙に、

「はい、わかりました」
「はい、わかりました」

「川口さん、今回はほんとにありがとう。恩に着るわ」

「いえ……。そんな大したことじゃありませんし……。それじゃわたしは帰らせていただきます」

「えっ? せっかくだし、ちょっと寄ってったら? 別にここ、『全面立入禁止』じゃないわよ」

「いえ……。お気持ちはうれしいんですけど、わたし、兄弟のめんどうを見ないといけませんので……」

「そうなの……。引き止めたりしてごめんね。じゃ、車を手配するわ。それぐらいさせてちょうだいね」

 ひなたは明るく微笑み、

「はい、ありがとうございます。おねがいします」

 由美子は、心の中で

(この子、ほんとにしっかりしたいいお嬢さんね。しっかしマサキ君も鈍感な子だわ。……サトシ君と言い、マサキ君と言い、あーあ、男って奴は、どいつもこいつも……)

と、苦笑していたが、何故か山之内を「鈍感だ」と「断罪」していない事は意識していなかった。

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 部屋に戻ったサトシは何も考えずにシャワーを浴びた後、ベッドに入って布団をかぶった。

「…………」

 何も考えないようにしていたが、リョウコの事やアキコの事が頭の中を駆け巡る。更にはレイの事まで思い出してしまい、自己嫌悪が心をさいなむ。

(はじめに形代から電話もらった時、気持ちに気付いてやれなかった……。巨大クラゲとの戦闘の後も、あんなに心配してくれたのに、気付いてやれなかった……。北原のことが好きなのに綾波とあんなことをしてしまった……。結局、僕は、北原も形代も綾波も、自分の都合でもてあそんでたんだ……)

「……うっ……、ううっ……」

 こらえてもこらえても自分の情けなさに涙が出て来る。サトシにはそれを抑える事が出来なかった。

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 アキコも部屋で一人机に向かっていた。

(ぜんぶ言っちゃったのよね……。沢田くん、わたしのことをきらいになったじゃろうかな……)

 その時アキコの心に「昨日、由美子と山之内に事情を聞かれた時に心をよぎった思い」が蘇り、

(「そんなことなら自分も積極的に告白すればよかったのかも知れない」)

(わたし……、北原さんがわたしのためにおおけがをしてしもうた、あんなときなのに、自分のことしか考えとらんかったんよね……。今でもそうじゃね……。なんていやな子じゃろか……。こんなわたしのために……、北原さんは……)

 アキコの瞳から涙がこぼれて机に落ちた。

(結局、わたし……、気持ちをきりかえて元気にがんばろ、思うとったけど、ぜんぶいいわけじゃったんよね……)

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 那覇で入院中のリョウコを除いたオクタヘドロンのパイロット達は、全員京都に帰って来て「取り敢えず」いつもの生活に戻った。

 マサキ、タカシ、サリナの三人は特に何もなかったので、通常通りの「生活」と「訓練」の日々に戻る筈だったのだが、やはり多数の死者が出た今回の「マーラ襲来」には暗い気持ちにならない筈もなく、三人とも無口になって毎日のスケジュールを淡々とこなすのみであった。更に、リョウコの入院がそれに追い討ちをかけている。

 休養を命じられたサトシとアキコは月曜日だけは学校を休んだものの、一応火曜日からは学校に行ったが、クラスメイトもサトシやアキコの事を気遣ってか、二人には余り事件の事を聞かない。そうして、サトシとアキコは学校と自室を往復するだけの毎日を続けていた。

 サトシとアキコの処分に関しては、由美子と山之内の詳細な報告書により、「マーラによる精神攻撃が原因である」と言う事になったため、「命令違反に対する責任そのもの」は不問に付された。しかし、「マーラの精神攻撃」は無視出来ない事実だったため、急遽オクタヘドロンのコンピュータに警報を組み込む事となった。但し、これはパイロット自身の心理状態にも影響される問題であるため、「少年少女達のメンタルケア」に関しては由美子の大きな課題となった事も事実だった。

 リョウコは退院までに3週間はかかるだろうと言う見通しである。ある程度回復したら京都に帰って来て本部で治療を続ける予定にはなっているが、それでも2週間は沖縄で入院していなければならないだろうと言う事である。

 マーラが沖縄の米軍基地に出現し、多数の死者が出た事は全世界に衝撃をもたらした。特に、最新鋭の米軍の兵器がマーラには全く歯が立たなかった事はアメリカにとっても大きなショックだったのである。

 一部マスコミには「日本の陰謀だ」と言う「馬鹿げた記事」も出たが、「どう考えてもそんな『メリットのない事』を日本が組織的にやる筈がない」、と言う「常識的反論」が勝利を収め、それをきっかけとして、アメリカでは逆に「本国やハワイにマーラが出たらどうするのだ」と言う危惧の方が強くなって来たのである。

 アメリカ政府は極秘に日本政府に「対マーラ戦略」の情報の提供を求めたが、実際の所、「魔法使いを養成してマントラを唱えさせるしかない」と言うのが実状だったため、日本政府としてもそれ以上の事は言いようがなかった。

 自衛隊の新型ミサイルの件は少々物議を醸したが、自衛隊が情報を提供すると、アメリカとしても頭を抱えるしかなかった。アメリカも一応は「呪術師集団」を持っていたのだが、事実上は馬鹿にして全く活用していなかったのである。軍は急遽、「馬鹿にしていた呪術師集団」を「活用」しようと、慌てて動き出した。

 しかし、「日本にあるとは言え、米軍基地にマーラが出現した当事者」たるアメリカこそ慌てて動き出したが、他国の実状は相変わらずであった。自国にマーラが出現した訳ではないので、幾ら衝撃をもたらしたとは言っても、所詮は「対岸の火事」だったのである。

 マーラの出現が「物議を醸した」のは日本国内の方が深刻だった。「沖縄の米軍基地にマーラが出現し、死者が出た」のである。基地で働く「日本人従業員」にも死者は出たし、この事件を「沖縄問題」と絡めて政治的に利用しようとする勢力が政府を攻撃し出したのは当然の流れである。日本政府は対応に苦慮しながら「一日も早い事件解決に全力を尽くす」と言う声明を出すぐらいしかなかった。

 マーラの残骸に関してはジェネシスでも米軍でも調査が行われたが、炭化してしまった事もあり、単細胞生物の群体ではないか、と言う事ぐらいしか判らなかった。

 ディーヴァに関してはかなり破損が酷かったので全力で修理作業が行われたが、反重力エンジンが破損してしまった事もあり、フルピッチでも2週間はかかる見通しであった。

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 その週も慌ただしく過ぎて10月7日になった。山上機関部長と松下顧問は全力でディーヴァの修理を行っている。

 格納庫にやって来た伊集院が山上に声をかけ、

「山上君。状況はどうかね」

「フルピッチで修理していますが、後1週間はかかりますね。なにしろ本体の反重力エンジンが完全にやられましたから」

「カプセルの方はどうなんだ」

「カプセルは幸いにして部品の破裂程度で済みましたが、内部の修理に同程度かかる見通しです」

「そうか……。結局、あの戦闘ではカプセルが自動分離されたが、『質量・慣性中和システム』がパイロットを助けた、と言う事か」

「そうです。フライトレコーダを解析した結果、プラズマからパイロットを守ろうとして、ディーヴァがカプセルの反重力フィールドを防御モードでフル稼動させたんですよ。その結果、コイルが数個オーバーロードして破裂したんです。そのためパイロットは負傷しましたが、最後まで慣性を中和し続けたので、カプセルが落下した時のショックは受けなかったのです。あの高さから落下した訳ですから、中和システムが働かなかったら、恐らくは助からなかったでしょう。……但し、今回の破損事故を鑑みれば、カプセル内の部品の電流容量をもっと増やしておくべきと思われますので、12台あるカプセルは全部改良する予定です」

「うむ、わかった。よろしく頼むぞ」

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 サトシとアキコは訓練を再開する事になり、学校から帰って来た後、格納庫に向かった。

 あれ以来、どうも気持ちが沈んでしまって直らない。しかし、いつまでも部屋に閉じ篭っているのもかえって不健康であろうとの由美子の判断で、取り敢えずシミュレーション戦闘だけでもやってみよう、と言う事になったのである。

 サトシとアキコはそれぞれカプセルに入った。外には由美子がいる。岩城も同席している。

『サトシ君、アキコちゃん、準備はいい?』

 カプセル内に由美子の声が響く。

「はい、いいです」

『わたしもいいです』

『それじゃ始めるわよ』

 カプセル内のスクリーンに巨大クラゲの映像が映った。琵琶湖上空での戦闘シミュレーションにしておこうと言う由美子の意見によるものだ。サラマンダーとの戦闘は、サトシやアキコには精神的負担が大き過ぎるだろうと言う「親心」だった。

 サトシは操縦捍を握って念を凝らす。巨大クラゲの映像が段々大きくなって来た。

「うっ……、なんだこれは……」

 サトシの脳裏に「サラマンダーの眼」を見た時の嫌悪感が蘇って来る。胃のあたりが重苦しい。吐き気さえするではないか。

『どうしたの!? 二人とも脳神経データが乱れてるわよ!』

『由美子さん! わたし、だめです! ううっ』

 アキコの涙声がサトシの乗っているカプセル内にも響く。

「由美子さん! 僕もだめです!」

 サトシは懸命に嘔吐感をこらえていた。

『二人とも降りて! シミュレーションを中止するわ!』

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 サトシとアキコがうなだれている前で、由美子が心配そうに、

「岩城先生、これはどう言う事でしょう」

「前回の戦闘で受けた精神的外傷……、トラウマが強過ぎたようですね。我々の予想以上に沢田君と形代君のショックは大きかったようです。無理して訓練をさせるのは控えた方が良いと思います。肉体的苦痛まで伴うとなると、医学的な判断も必要ですね」

「でも、サラマンダーとの戦闘では、混乱から立ち直ったでしょう」

「アドレナリンが大量に出ていたんでしょう。興奮状態で一時的には大丈夫だったようですが、その反動もあるんでしょうね……。いずれにせよ、医学的な事は木原医療部長に相談すべきです」

 サトシとアキコは、重苦しい顔のまま、

「由美子さん……、僕……」
「由美子さん……、わたし……」

「サトシ君、アキコちゃん、ほんとにごめんね。無理させたみたいで。とにかく医療部へ行きましょう」

「はい……」
「はい……」

 +  +  +  +  +

 本部長室。

トゥルルル トゥルルル

「はい。伊集院です」

『伊集院君か。総務省の高沢だ。厄介な事になったぞ』

「え?! 厄介な事とは?!」

『外務省から嫌な資料が回って来たんだよ。君の所に電子メールを入れておいた。すぐ見てくれ』

「はい、ちょっとお待ち下さい」

と、伊集院がパソコンを操作すると、

「これは!?」

 喫茶店の中で山之内が見知らぬ男と会見している映像が映し出されたではないか。

「一人はウチの情報担当の山之内です。もう一人は知りませんが、これが何か?」

『その男は川島慶太郎と言って、自衛隊総合研究所の主任研究員だよ』

「えっ! なんですって!?」

『無論、この写真だけではジェネシスの情報が自衛隊に流れた、と断定する事は出来んが、いずれにせよ、ウチやジェネシスを揺さぶるためには格好のネタだ。ちゃんと調査せんと厄介な事になる。君や私の責任問題にもなりかねん。すぐにその山之内と言う男を呼んで事情を問い質すんだ。わかったな』

「了解しました。すぐに調べます」

『頼むぞ。では』

 高沢からの電話が切れた後、

「なんて事をしてくれるんだ。このややこしい時に……」

と、伊集院は苦り切った表情で電話のボタンを押した。

「情報部か。伊集院だ。山之内君はいるかね。……そうか。ではすぐに呼び出して私の所へよこしてくれ。至急だぞ」

(厄介な事になったな……)

 続く



この物語はフィクションであり、登場する人物、団体は全て架空の物です。

BGM:'IN THEME PARK ' composed by Aoi Ryu (tetsu25@indigo.plala.or.jp)

原初の光 第二十三話・苦悩
原初の光 第二十五話・信念
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